企業サイトにゲーミフィケーションを取り入れる:事例とポイント

米国サムスン電子がゲーミフィケーション要素を取り入れた企業サイト「Samsung Nation」をオープンしました。

SAMSUNG Launches the Industry’s First Gamified Corporate Website(サムスンが業界初のゲーミフィケーション対応の企業サイトを公開)

「Samsung Nation」では、ユーザーのサムスンサイトでの活動がポイント化され、ポイントに応じてバッジを獲得したり、抽選に応募することができます。またFacebookやTwitterとも連携しており、ソーシャルメディアでも情報がシェアされるような仕組みを用意しています。

今回は、Samsung Nationの構成や仕組みをみてみましょう。さらに、このゲーミフィケーションを実現しているプラットフォームを提供しているBadgevilleの資料などを元に、企業サイトでゲーミフィケーションを取り入れる場合のポイントを整理してみましょう。

なお、ゲーミフィケーションとはそもそも何か、ということについては、以下の記事を参照してください。

Gamification:なぜいまゲーム化なのか

Samsung Nationの利用

Samsung Nationを利用するには、最初に利用者登録が必要です。FacebookやTwitterのアカウントを使ってユーザー登録をすることもできます。

ユーザー登録ができたら、サイト内を利用することによってポイントが貯まってレベルが上がっていきます。また、特定の行動をすることでもバッジを獲得できるようになっています。

自分の成果は以下のような画面で確認することができます。

また、サイトのトップで他のユーザーの獲得状況もリアルタイムで表示されるリーダーボードも用意されています。私の獲得情報も流れています。

ポイント獲得の方法

ポイントを獲得するには、様々な方法が用意されています。以下はポイント獲得の例です。

500ポイント:所有しているサムソン製品の登録

300ポイント:製品レビューの投稿
300ポイント:Q&Aフォーラムでの回答を投稿
200ポイント:Facebookページに「いいね!」
200ポイント:動画の閲覧
100ポイント:Twitterなどで共有
100ポイント:Q&Aフォーラムで質問を投稿

製品を登録するには、製品名だけでなく、シリアルナンバーなども要求されます。所有している製品はいくつでも登録できるので、現実の「サムソン製品のファン」はそれだけランクが上がります。

また、Q&Aフォーラムやレビューなど、ユーザーが作成するコンテンツに参加することでポイントがもらえます。ポイントがコミュニティ参加の動機になり、盛り上がりやすくなります。もちろん、レビューの内容(高評価/低評価)によってポイントが変わることなく、皆平等にポイントが付与されます。

バッジ獲得の方法

バッジは種類によって獲得方法が異なります。自分のアカウントの達成状況を確認すると、バッジごとに次にどんなアクションが必要か、どのくらい達成しているかがわかるようになっています。

例えば、以下はSpecialというバッジの獲得状況です。

Super Fan、Early Adopter、Playerというミッションは獲得していますが、Quest、Cruiseのミッションはまだ完了していません。ミッションの達成度は60%です。それぞれのミッションのアイコンにマウスオーバーすると、具体的に何をすればいいかがわかるようになっています。

なお、ミッションをクリアしたり、ポイントが貯まってレベルアップすると、下にメッセージが表示されるようになっています。この時、Tweetボタンを押すとツイートします。

報酬は?

報酬はデジタルのバッジだけではありません。例えば、特定のバッジを獲得すれば、自動的にサムスン製品の懸賞に応募できたり、特定のレベル以上のメンバーだけが参加できる懸賞に応募できるなどの特典が用意されています。

例えば、Early Adopter Badgeを獲得した人にはGalaxy Tab、 Star Badgeを獲得した人にはデジタルカメラのプレゼントの抽選に応募できます。

企業サイトにゲーミフィケーション要素を取り入れるときのコツ

「Samsung Nation」はBadgevilleが提供するゲーミフィケーションのプラットフォームを利用して、ポイント獲得やバッジ獲得のシステムを構築しています。

Badgevilleはゲーミフィケーションプラットフォームとして有名な企業で、ゲーミフィケーションについてのホワイトペーパー「Turn your visitors into loyal fans with game mechanics(サイトトップからユーザー登録が必要)」を提供しています。この資料とSamsung Nationに実装されている要素を比較して、企業がゲーミフィケーションを取り入れるときのコツを考えてみましょう。

ロイヤリティへの報酬とビジネスゴールの一致

ゲーミフィケーションを取り入れるには、最初にサイトのゴールを明確にしなければなりません。

Samsungではユーザーの頻繁な訪問、ユーザー参加型コンテンツ(Q&A、レビュー)の充実、サイト内に用意されたコンテンツの閲覧、サイトあるいは実店舗からの購入などを目指していると考えられます。

続いてターゲットです。サイトの訪問者のエンゲージメントとはどのように測れるかも考えなければなりません。

そしてこれらを踏まえて、ビジネスのゴールに適した報酬を用意する必要があります。報酬としては、バッジやポイントに加えて実際のサムスン製品のプレゼントがあります。ファンを喜ばせてサイトのエンゲージメントを高めるという観点から、報酬とゴールは一致していると考えられます。

ゲームのモチベーションとなる3つのレイヤー

用意されたゲームをやる気にさせるための仕掛けが必要です。Badgevilleは3つのレイヤーを定義しています。

・個人

個人の達成感や報酬への期待、承認欲求などに訴えます。
サムスンでは、レベルやバッジ獲得による個人の達成度の可視化、達成時に表示されるメッセージなどで、個人に訴えます。

・友達

友達からの賞賛、友達との競争、比較、協力などに訴えます。
サムスンでは、ソーシャルメディア上で自分の達成をシェアできることがしかけになっています。

・グループ

グループ内での賞賛、競争、比較などに訴えます。
サムスンでは、グループ全体のトップメンバーの成果やレベルが表示されています。また個人の達成もリアルタイムでグループ内に表示されるようになっています。

ポイントのつけ方

報酬としてポイント付与は定番です。アクションによって付与するポイントを変えて、よりロイヤリティやエンゲージメントの高い行為にはポイントを高く設定します。

サムスンの場合は、実際に製品を所有しているリアルカスタマーが最もポイントを獲得できるようにし、次いでユーザー参加型のコミュニティへの寄与などにポイントを高めに設定しています。一方で、コアなファン以外のユーザーも参加しやすいTwitterのシェアなどにもポイントを付与しています。

バッジの獲得方法

ポイントは一つの行動で何度も獲得できますが、より複雑なシーケンスの行動や、一度だけの特別な行動でユーザーが獲得できるようにしているのがバッジです。

バッジは「ゲームプレイ」の要素が強く、ミッションの達成度も可視化しやすく、ユーザーのやる気を起こさせます。

サムスンの場合は、コンテンツの閲覧や製品の購入など様々なアクションを組み合わせてそれぞれ適したロイヤリティ度をバッジ化しています。中には「夜にログインする」ともらえるバッジなども用意されています。

トロフィーとレベル

トロフィーはそのコミュニティ内でのステータスであり栄誉です。ポイントによって上がっていくレベルに、名前をつけることで自分のステージをわかりやすくします。

サムスンでは、レベル1がNovice、レベル2がApprentice、レベル6でLegendというようにトロフィーと称号が得られるようになっています。

サムスンでは、リーダーボードが用意されており、トップのユーザーの名前やポイント数、レベルが表示されるようになっています。また、レベルに関わらず、ポイントの獲得やバッジの獲得が達成されたら、リアルタイムのフィードに情報を流しています。これは「自分以外の人もやっている」雰囲気を出し、ユーザーにやる気を起こします。

ソーシャルメディアでのシェア

バッジやトロフィーの獲得をソーシャルメディア上でシェアできるようにすれば、ユーザーのソーシャルグラフを使ってサイトのことを広めることができます。友達のシェアによって興味を持って参加する人が増えれば、ユーザー自身もさらに楽しむことができます。

サムスンでも、シェアできるようなボタンを用意しています。Twitterの#SamsungNationというハッシュタグを見てみると、多くの人が自分の達成をツイートしていることがわかります。

リアルタイムで達成がわかること

ユーザーが熱中するには、リアルタイムで達成の度合いがわかることが重要です。ミッションを達成したら、すぐにポイント獲得、バッジ獲得などの成果が見えると続きをやる気になります。

サムスンでも、達成するたびに下にメッセージが表示されるようになっています。

まとめ:有効性を評価することを忘れずに

ゲーミフィケーションを活用している企業は他にも多くありますが、今回は新しくオープンしたSamsung Nationを事例として、企業サイトにおけるゲーミフィケーション導入の可能性を考えてみました。

Samsung Nationのゲーミフィケーションの仕組みはよく設計されています。

サムスンのファンであれば、通常行っている行為(Webサイト上での製品情報の閲覧、購入、レビューの投稿など)にポイントがもらえるようになることで、これまで以上にモチベーションを持って、エンゲージメントの高い行為をしたいと思うようになるでしょう。

では、一般のユーザーにとってはどうでしょうか。他社製品とサムスン製品の購入で迷っているときに、ゲーミフィケーションの仕組みがサムスン製品購入の動機になるでしょうか。もう少しで貯まったポイントがレベルアップにつながり、レベルが上がることによる特典(プレゼント、割引など)が魅力的であれば、購入を後押しする可能性があります。

検討の結果としてサムスンの製品を買った人は、購入後にまたサイトに戻って製品登録、レビュー投稿などに参加してくれる可能性があります。一度購入したユーザーをサイトに呼び戻し、ユーザー参加型のコンテンツに投稿してもうらことに成功したとすれば、ゲーミフィケーションの効果は高いといえるでしょう。

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