今現在、日本国内におけるインバウンドのマーケット市場はとても巨大になっております。
かつ、外国人が消費をする金額は日本人の消費金額よりもはるかに高くなっております。
インバウンド需要のマーケット規模が高い理由は、訪日外国人客の購買力とそれを売り込む地域や企業の取り組みの貢献度が大きいでしょう。そこで、消費がどのくらいか確認するには、観光庁が提供する統計情報「訪日外国人消費動向調査」が適しています。この調査では、具体的な消費額とマーケットの規模を明らかにしています。
まず、日本国内におけるインバウンド需要の全体傾向として、新型コロナウイルス感染症の流行時期を除けば、右肩上がりでこの10年変化し続けたことです。2012年代には1兆円台、2014年に2兆円台、2015年には3兆円台と急激なマーケットの成長を見せ、2019年には約5兆円近くまで大きく成長します。ただし、2020年に新型コロナウイルス感染症が世界的に流行したことで状況は一変します。
2020年代と2021年代は新型コロナウイルスの渡航制限や自主的な巣ごもりにより、インバウンドのマーケットは大きな打撃を受けたのです。2020年と2021年の4半期それぞれが0億円の支出状況が確認できないなど、訪日外国人旅行者の消費は大幅に減少しました。その結果、2020年の訪日外国人客の数は概算で約400万人、消費額は約7兆円にまで落ち込みます。2021年も規制が緩和されるまでこの状況は続くこととなり、緩和の拡大後もインバウンドの訪日外国人客の消費額は1,208億円、2022年に8,987億円と低迷します。2022年の消費額と2019年の消費額を比較するとおよそ8割の消費ダウンです。
もちろん、インバウンドの需要が落ち込んだ後の2022年以降は、回復の兆しを見せます。具体的には、2022年第1四半期(1-3月)には、訪日外国人旅行者による消費額が352億円になり、第2四半期(4-6月)では増加して1,047億円です。その後、第3四半期(7-9月)には1,640億円とさらなる伸びを見せ、第4四半期(10-12月)には急激な増加の結果、5,952億円まで大きく増えます。したがって、2022年全体の訪日外国人旅行者による消費額は8,991億円まで回復したのです。2021年の結果と比べれば大きな伸び率であることは間違いありません。そして、2023年は1四半期(1-3月)ですでには1兆103億円の結果となり、年間で5兆円規模のスタートダッシュを切っています。訪日外国人客数の回復も順調で、それを踏まえると、1四半期(1-3月)同様に2023年第2四半期(4-6月)以降も1兆円規模で需要が回復することが想定されるのです。
以下は項目別の消費額です。
- 宿泊費
- 2022年の宿泊費は、1人につき6万2,930円となっており、2019年の1人につき4万7,472円に比べて増加しています。上記の増加理由は、全体の旅行支出消費が増えたことと、宿泊日数が増えたことが影響しているでしょう。
- 飲食費
- 飲食費も、2022年の1人につき4万5,558円と2019年の3万5,301円に比べて増加しています。これは、訪日外国人観光客が日本の食文化に興味を持ち、食事に対する消費の増加が影響しています。
- 交通費
- 交通費も増加傾向にあり、2022年では1人につき2万2,315円、2019年では1万8,149円です。観光地へのアクセスが向上し、訪日外国人がより多くの場所を便利に訪れるための費用として使われやすくなったことが考えられます。
- 娯楽等
サービス
- 娯楽等サービス費は、2022年の1人につき6,902円で、2019年の6,300円よりも若干増加しています。地域でのアクティビティが高まり、訪日外国人客がそれらを利用する機会が増えたことが理由として考えられます。
- 買物代
- 買物代は、2022年の1人につき6万2,336円で、2019年の5万9,474円に比べて増加しています。これは、免税店の増加や訪日外国人客が日本の商品に対する関心が高まったことが影響しているでしょう。
このように、日本人の消費増加には全体数に限界はありますが、訪日外国人客も含めることで新たな新規顧客と売上利益を確保できるのです。新型コロナウイルス感染症の影響でも大きな回復傾向が見られるのは、インバウンドがいまだ発展途上だからこそです。競合企業よりも先に外国人に日本のインバウンド・観光向けのサービスや商品を売り込むことで有利に立ちましょう。