
顧客の声を聞くためのワークフロー
企業がソーシャルメディアを活用するメリットの1つが、顧客の生の声を聞き、それに対してダイレクトに反応を返すような双方向のコミュニケーションが取れるということです。 しかし、本当に声を聞き、適切な方法で返答し、エンゲージメントにつながるようなコミュニケーションができているのでしょうか。ソーシャルメディアを使って顧客の声を聞くというのは、受け身的な活動のように感じるかもしれません。しかし、受身では顧客の声を聞くことができません。聞くというのは、積極性と戦略が必要です。 今回は、改めて顧客の声をどう聞くのか、声を聞くためのワークフローをどうするか、ということについて考えてみましょう。なお、顧客とは既存顧客、見込顧客、潜在顧客を含んでいます。
聞いて反応するためのワークフロー
以下の図は、顧客の声を聞いて反応するためのワークフローです。
それぞれのポイントを考えてみましょう。
何を聞くのか:発見
まず、何を聞くのかを決めましょう。例えば、以下のようなものが考えられます。
- 企業やブランド その企業やブランド、経営者、製品、公式Webサイト、公式ブログ、販売店、従業員、イベントなどについて
- キーワード 製品やサービスに関連するキーワードやフレーズ、人名、キャンペーン名などについて
- 業界、競合他社 業界や競合他社についての意見、評価などについて
- 聞く必要がある単語をリストアップして、定期的に検索/リアルタイム検索をして、どのような意見が交わされているのかを調べてみます。なお、TwitterのAdvanced Searchでは、検索条件を細かく指定して検索をすることができます。
何が語られているのか:評価分析
顧客の声を見つけたら、それが何について、どういう風に語られているのかを判断します。例えば、以下のような形で分類します。
何について
企業、ブランド、製品、販売店、店員、イベント、業界、競合など
どのように
ポジティブ(レビュー、リコメンデーション、紹介、販売につながる問い合わせ) ネガティブ(レビュー、批判、苦情、トラブル、皮肉) ニュートラル(質問、参照、RT、ニュース)
誰が
潜在顧客 見込顧客 既存顧客 従業員、パートナー 競合 マーケッター
優先度と深刻度
続いて、優先度と深刻度を判断します。
例えば、以下のような基準を設定し判断します。
優先度
低:レビュー、紹介、参照、一般論、噂 中:苦情、トラブル、製品への問い合わせ、質問、改善要求 高:対応しないと炎上につながるような批判
深刻度
低:個人のツイート、ブログ、個人間の議論 中:やや影響力のあるユーザーのツイート、ブログ 高:影響力の高いユーザのブログやツイート、メディアの掲載 バイラルになっている 他ブログ、サイトへの波及、まとめサイトの出現
対応者の決定
続いて、誰が対応するのが適切なのかを判断します。ソーシャルメディアの担当者の範囲で回答できるのか、しかるべき部署に確認するべき内容かを判断します。
最適な反応を返す:対応
評価分析した結果に基づいて、担当者が対応をします。 コメントを返したり、公式な見解を発表した場合は、その後の反応も追跡するようにします。そこでまた評価分析して追加の対応が必要かどうか、完了したかどうかを判断します。
経緯と結果を残す:記録
対応が完了したら、経緯と分析結果、その後の対応方法について記録します。 例えば、製品についてどういう苦情があり、それがどの程度まで広がったのか、どう対応したのか、その意見をどの部署で共有したのかなどを記録して、ノウハウを蓄積していきます。
まとめ:顧客の声は宝
聞いた声に対してすべて何らかの反応を返す必要はありません。ソーシャルメディアを活用する目的にそって、反応するかどうかを評価分析しましょう。 しかし、顧客の正直な声はより良いサービスや製品の提供、企業のブランド価値の向上のために役立つとても貴重なものです。できるだけ多くの声を拾い、どういう意見やアイデアがあるのかに注目しましょう。