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エンゲージメントは売上につながるのか


ページビュー至上主義の終焉」という記事では、従来はWebサイトの評価としてページビューが重要視されていたが、今後は顧客とのエンゲージメントが価値につながるということを紹介した。 顧客との交流ともいえるエンゲージメントが必要であるということは、なんとなくであるが、多くの人が納得していることのようである。 では、実際のところ、エンゲージメントは企業の利益に影響するのであろうか。 WetpaintとAltimeter Groupという調査会社では、実際にエンゲージメントの度合いと経営状況に関係あるのかどうかを分析するために、グローバル企業トップ100をターゲットにした調査を行った。その調査結果はENGAGEMENTdbで見ることができる。


エンゲージメントの算出

WetpaintとAltimeter Groupでは、Twitter、Facebook(フェイスブック)、YouTubeなど複数のソーシャルメディアチャンネルにわたって、トップブランド100企業のエンゲージメントの深さを算出した。 それぞれのソーシャルメディア単位で、評価値をサブスコアとして算出したのち、それらを合算させてエンゲージメントスコアとして評価した。なお評価基準は、ソーシャルメディアの種類によって異なる。さらに、ソーシャルメディアを活用している部署や経営陣の数などについても評価に関係している。 最終的なスコアは、利用しているソーシャルメディアのサブスコアの合算値であることから推測できるように、ソーシャルメディアチャンネル数が多い企業ほど、エンゲージメントスコアが高くなる。 しかし単純にそれだけではなく、利用しているチャンネル数とエンゲージメントの深さの相関を分析した結果、チャンネルが増えるほど、数に比例する割合よりも高く、エンゲージメントが深くなることがわかった。


エンゲージメントの深さで4つのタイプに分類

調査では、エンゲージメントの深さから、以下の4つのタイプに分類している。


ソーシャルメディア通(Mavent)

7つ以上のソーシャルメディアチャンネルを利用し、平均より高いエンゲージメントスコアを持つ。


バタフライ(Butterflie)

7つ以上のソーシャルメディアチャンネルを利用しているが、平均より低いエンゲージメントスコアを持つ。


選択派(Selectives)

6つ以下のソーシャルメディアチャンネルを利用し、平均より高いエンゲージメントスコアを持つ。


壁の花(Wallflower)

6つ以下のソーシャルメディアチャンネルを利用し、平均より低いエンゲージメントスコアを持つ。


エンゲージメントが深いほど売上が上がる

4つのグループごとの経営状況を分析したところ、「ソーシャルメディア通」に分類される企業は、総売上、純利益、ネットマージン(純利益/売上)の年間成長率の3つともが最も高いことがわかった。

総売上の成長率は、「ソーシャルメディア通」「バタフライ」「選択派」「壁の花」の順になる。「バタフライ」はチャンネル数を増やすことで、より多くの顧客にリーチすることができたため、結果として総売上の成長率を高めることにつながったと考えられる。 純利益とネットマージンの成長率は、「ソーシャルメディア通」「選択派」「バタフライ」「壁の花」の順であった。 このことから、深いエンゲージメントを持つ企業ほど、ビジネスとして成長しており、エンゲージメントが浅い企業は成長の度合いが低いことがわかった。特に「ソーシャルメディア通」と「壁の花」の差は歴然としていることがわかる。


なぜエンゲージメントが経営に影響するのか

では、このような明確な差が発生したのか。それを紐解くキーワードがビジネスサイクルだ。 深いエンゲージメントを実現できている企業は、ソーシャルメディアの活用を通して顧客の要望や意見、アイデアなど顧客の声を聞いている企業である。こうして収集した顧客の声からニーズを探り、それにあったビジネスを展開しているのである。それが結果として、売上の増加につながっている。さらに、利益が向上した分、さらに顧客とのエンゲージメントを深めるための投資(チャンネルの増加)が可能となり、そこでまた新たな声を拾うことができるようになっているのである。このようなよいビジネスサイクルが循環している企業は、経営がうまくいっている。


少ないチャンネルか、多いチャンネルか

この調査結果から、チャンネル数が多いがエンゲージメントが低い「バタフライ」とチャンネル数が少ないがエンゲージメントの高い「選択派」のどちらがよいか考えてみたい。 理想的なのはもちろん「ソーシャルメディア通」であるのだが、ソーシャルメディアの導入過程において、どういう戦略で進めていくかを考えるにあたって、この結果は非常に参考になる。 「バタフライ」は売上総利益においては「選択派」を上回っているが、粗利益と純利益の成長率においては、「バタフライ」よりも「選択派」のほうが上回っている。 これは、チャンネル数を増やすよりも、限られたチャンネルの中で顧客との深いエンゲージメントを実現したほうが、顧客の声を聞きその要望に答えていくことができ、結果として効率的な利益率の向上ができることの証明になる。チャンネル数を増やせば、より幅広い層の顧客にリーチすることができるものの、声を聞くということができなければ、実質的な利益の向上にはつながりにくいのである。 よって、特にソーシャルメディア導入時においては、自社のターゲットとする顧客がいるチャンネル、会話をしているチャンネルがどこなのかを見極めて、戦略的に展開していくことが重要であるといえる。


まとめ:ソーシャルメディアは利益に貢献する

この調査結果から、ソーシャルメディアを戦略的に活用し、顧客とのエンゲージメントを高めることが、ビジネスの成長においてとても重要なファクターであることがわかる。 「なぜ企業としてソーシャルメディアに取り組む必要があるのか」というFAQに「やった分だけ、売上に貢献するから」と数値を出して答えられることになる。 なお、この調査結果の詳細(企業ランキングや各企業のスコア)はここ(pdf)を参照してほしい。

深谷歩
深谷歩

株式会社 深谷歩事務所 代表取締役 ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援として、サイト構築からコンテンツ企画、執筆・制作、広報活動サポートまで幅広く行う。Webメディア、雑誌の執筆に加え、インタビュー取材による導入事例作成、記事作成なども行う。 著書 『コストゼロでも効果が出る! LINE公式アカウント集客・販促ガイド』(翔泳社、共著)、 『自社のブランド力を上げる! オウンドメディア制作・運用ガイド』(翔泳社)、 『たった1日でも効果が出る! Facebook広告集客・販促ガイド』(翔泳社) 他多数

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