プロモーション費用ゼロ!伝説の野外フェスの秘密

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Freedom Sunset

伝説の野外ライブ「Freedom Sunset」

プロモーション費用を一切かけずに、1,500人以上を動員する伝説の野外クラブイベントがある。

江の島展望灯台では、毎年数多くのイベントが開催されている。その中でも確実な集客力を誇り、8年間不動の人気を得ているイベントが「Freedom Sunset」だ。このイベントの仕掛け人が通称shibaこと、柴田 雄一郎氏だ。

実はこのイベントは、mixiを最大限に活用したプロモーションで大成功をおさめている。柴田氏はどうやってmixiを使ったプロモーションを展開したのだろうか。その秘策に迫った。

湘南最大規模の野外ライブ

クラブミュージックからオーガニックなライブ、民族音楽、阿波踊りまでジャンルにとらわれない選曲。湘南の海に沈む夕日を背景に、集まってきた人々が音楽にあわせ体を動かす。音楽とダンスが自然に融合し、大人から子どもまでが笑顔で同じ音の波に乗る。

sunset

Freedom Sunsetは、2002年に江ノ島の展望灯台が完成したとき、地域活性化のイベントの1つとしてはじまったものだ。柴田氏が展望灯台を運営する江ノ島電鉄からイベント企画の依頼を受けたとき、一番最初に考えたのが野外クラブイベントの三大苦をどのようにクリアするということだった。

三大苦とは、音楽や参加者たちの声による「騒音問題」、イベント終了後の「ゴミ問題」、そして一部の参加者たちの「ドラッグ問題」だ。

これらの問題をクリアしながら、コアなミュージックファンに対しどうアプローチしていくか。柴田氏は当時サービスが開始したばかりの「mixi」に目をつけた。

mixiで1万人に足跡をつける

shiba
柴田氏

「まず出演するアーティストのmixiコミュニティを見にいきました。イベントに参加するアーティストたちは、特定の音楽ファンから熱狂的な支持を得ていますが、一般の人たちに人気というわけではなく、メディアへの露出もほとんどありません。だから彼らのファンは情報に飢えていて、自分と趣味嗜好のあう人たちが集まったコミュニティの中で活発な情報交換をしていました。

私はそこで見つけたコミュニティメンバーのホームに飛んで自分の『足跡』をつけていきました。1回の開催でおよそ1万人ほどのホームに足跡をつけましたね。その時は、ずっと足跡つけをやっていました。電車での移動中も携帯片手に足跡つけです。」

足跡とは、mixiの自分のホームを訪れたユーザーを記録するアクセスログだ。ユーザーは足跡から自分のホームに誰が来たかを確認できるし、記録されたユーザー名をクリックすれば相手のホームに飛ぶことができる。

柴田氏

「足跡を見た人たちは私のホームの方を見に来ます。自分のホームのトップには、イベントの案内が出ている。そこから興味を持った人がさらに自分が運営するイベント用のコミュニティに誘導されていくという流れを作りました。

足跡を見て私のホームに来てくれるのは、アクティブなコミュニティで6割前後といったところでしょうか。告知としては十分です。

足跡というのは初めてのイベントを告知するのにちょうどよいツールでした。コミュニティで見かけた人に、直接メールを送ったら押し付けがましすぎます。コミュニティの掲示板に告知しただけでは、単なるPRにとられ印象に残らない。足跡の場合は、ユーザー自身が気になって、自分で情報を見に来たというところがポイントなのです。」

この感覚からもわかるように、柴田氏は多くのイベントのプロデュースやプロモーションで成功した実績がある。つまり、プロのイベント仕掛け人なのである。

イベントの詳細情報は隠す

足跡をつけるまでは企画人からのプッシュだ。そのプッシュで集まってきた人たちは、イベントの情報をもっと知りたいと思うようになる。しかし、柴田氏はここで急に敷居を上げる。

柴田氏

「イベントの詳細な情報、つまり日時、場所、出演アーティストなどはオープンにしません。私が運営するコミュニティに入らないと情報を見ることはできないようにしたのです。コミュニティは承認制です。だから、興味を持って見に来たとしても、私にメッセージを送って承認してもらわない限り、イベント情報を知ることができないのです。」

主催者とのつながりが参加者の意識を変える

柴田氏

「承認する際に、イベントの趣旨を伝えると同時に、参加する時は『近所迷惑になるような騒音はたてない、ゴミは持ち帰る、ドラッグなど不健全なことはしない』ということを約束してもらいます。

この承認のやり取りで、主催者とイベントの参加者との間に関係ができあがるのです。この関係があることによって参加者は『イベントを見に行く』ではなく、『shibaという主催者が運営するパーティに参加する』という意識になるのです。

主催者とお客さんがつながることで、結果的にイベントの質も高くなり、健全で安全なパーティを実現できるようになったのです。

イベントには子連れで来る方も大勢います。30代になると家族を持つ人が増え、クラブから足が遠のきます。でもFreedom Sunsetは、そういった人たちも遊びに来れるような雰囲気を目指したのです。」

告知なしで満員御礼

柴田氏

「この2年はプロモーションをほとんどしていません。なぜかというと、mixiのコミュニティと口コミでどんどん人が集まるようになったからです。だから集客につながるような取材などはお断りして、情報を出さないようにしています。

しかし会場は1,500人を超えると窮屈になります。より心地よい空間にするため、当初入場無料だったところを、2009年から入場料を1,000円にしました。そうしたらかえって『安い!』ということでまた人が集まってしまった。そこで今年は予約制にしました。1,000人以上の予約があって、それでちょうど700人ほど集客しました。だから、今後は予約制を定着させたいですね。

お客さんの割合は、mixiのコミュニティから来る人が5割、あとは参加した友達からの口コミやTwitterなどを見てきた人たちです。」

mixiが弱まり、次のソーシャルメディアへ

DJ

柴田氏

「mixiを使ったコミュニティ管理とイベントが成功した理由の1つが、クラブミュージックという小さいマーケットが対象であるということです。

コアな音楽ファンの特性として、情報の収集に積極的であることがあげられます。だから彼らはサービス開始当初のmixiも活発に利用していたのです。もっと大きなマーケットであれば、アプローチ方法もまったく違うものになるでしょうが、2,000人規模のイベントであればmixiで十分管理することができるでしょう。

しかし、ここ最近感じるのが、自分が運営するmixiのコミュニティの力が弱まってきていることです。メンバーは2,500人ほどですが、アクティブユーザーが6−7割に落ち、残りの人はほとんど放置状態です。

すでに外国人の参加者向けにはFacebookのグループを使って出欠確認などをしています。およそ50人くらいの外国人がFacebook経由で来ています。

来年は、Facebookも含めコミュニティを維持するための次の手段を考えています。集客のためではなく、クオリティを維持するための施策ですね。

プロモーション費用をまったくかけずにイベントを成功させるなんて、90年代には考えられませんでした。こうしたことが可能になったのは、ソーシャルメディアというツールが確立し、みんなが日常的に利用するようになったからだと思いますよ。」

お話を聞いて:2つの明確な戦略

柴田氏の話を聞いて思ったことが、彼はそれまでの経験から「お客さんがいる場所(=mixi)」を知っており、「効果的なアプローチ方法(=情報を隠し承認制コミュニティに誘導)」を完璧に心得ているということである。闇雲にやっているのではなく、そこには明確な戦略がある。

柴田氏はイベント企画・運営以外にも、TwitterやFacebookを使った製品プロモーションなども行っている。いくつかアイデアを聞いたが、どれも「お客さんがいる場所」「効果的なアプローチ方法」をおさえているものだ。おそらくこれらの活動は近い将来、ソーシャルメディアを活用したプロモーションとして、話題になることだろう。

FreedomSunset TV
制作:産業能率大学 デジタルコンテンツラボ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。