位置情報はローカルビジネスを救えるか?

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1年で急増した位置情報サービス

ここ1年で位置情報サービスという概念が広く知れ渡るようになりました。現在日本で利用できる主な位置情報サービスは以下のとおりです。

  • Foursquare
  • Gowalla
  • Facebook Places
  • mixiチェックイン
  • はてなココ
  • ロケタッチ
  • 位置情報サービスは、ユーザーが「自分が今いる場所」をサービスに登録していくものです。それぞれプラットフォームやできることなどが異なりますが、「現在地登録」という基本的な機能は一致しています。

    これらのサービスは、ユーザー側からみると以下のようなおもしろさがあります。

  • 自分の現在地を友達に知らせる
  • 友達の現在地を知る
  • その場所についてのコメントが登録できる
  • 各サービスが持つゲーム的な要素(ポイント獲得、レベルアップ、仮想アイテムなど)
  • ゲーム的な要素は、各サービスによって異なります。例えばFoursquareであれば、ある場所に最も多くチェックイン(現在地登録)したユーザーがその場所の「Mayor」という地位を獲得できます。

    位置情報サービスは、その性質上、使い方によってはローカルビジネスにとって大きなビジネスチャンスをもたらします。では、具体的にレストランや小売店などは位置情報サービスをどう活用していけばいいのでしょうか。

    マクドナルドのキャンペーン

    一足先に、位置情報サービスのビジネス活用が進んでいるアメリカ国内では、すでにいくつかの導入事例があります。その中でも成功したキャンペーンを展開したのがマクドナルドです。

    マクドナルドの成功事例については、以下の記事で紹介されています。

    Case Study: McDonald’s ups foot traffic 33% on Foursquare Day

    マクドナルドのキャンペーンの要点を整理してみましょう。

    このキャンペーンは、Foursquareを利用して2010年4月16日に開催されました。キャンペーンの内容は、マクドナルドにチェックインしたユーザーのうち、抽選で100名に$5〜$10のギフトカードが当たるというものです。この結果、チェックインした人数が33%増加(前日比)し、その週全体では40%の増加となりました。さらに合計60万人の新しいファン、あるいはフォロワーを獲得、50以上の記事やブログで取り上げられました。また99%がこのキャンペーンを前向きに評価しました。マクドナルドでは、キャンペーンへの投資金額は$1,000未満としています。

    キャンペーンにはどんなものがあるか

    他にも位置情報サービスを利用したキャンペーンはいくつか実施されています。例えば、GAPでは、チェックインした人全員に、購入金額の25%をディスカウントするという1日だけのキャンペーンを実施していますし、Ann TaylorではMayor(店舗で最も多く登録した人)は25%ディスカウントの特典を授与というキャンペーンを展開しています。

    位置情報を利用したキャンペーンの実施のメリットとしては、特定店舗への来客者の増加に加え、従来の広告(チラシやダイレクトメール)などとは異なるチャンネルで顧客にアプローチできること、さらにTwitterやFacebookなどのコミュニティに顧客を導きやすいことなどがあげられるでしょう。

    本当に顧客増加、売上増加につながっているのか

    しかし、こうしたキャンペーンが取り上げられる一方で、本当に位置情報サービスがビジネスに価値を与えているのかということも議論されるようになってきました。例えば、以下のようなことは現在地登録しただけでは把握できないのです。

    本当に店を利用したのか?

    現在地登録の回数で特典を与えるようなキャンペーンや、マクドナルドの例のように登録することで抽選に参加できるようなキャンペーンで意識しなければいけないことが、「その場所の近くにいれば位置情報登録ができる」ということです。

    本当に店舗内に入ったのか、店舗内に入っただけなのか、それとも商品の購入にいたったのかということは、位置情報登録だけでは判別できないのです。

    購入金額は?

    実際に店舗に来た場合であっても、商品の購入にいたったか、購入金額はどれくらいであったか、ということは位置情報登録だけでは判別できません。

    週3回100円の商品を購入する顧客と、毎月1回5万円の商品を購入する顧客では、位置情報登録の回数だけでみれば、前者のほうが重要顧客となり特典が与えられることになりますが、それは本来の目的にかなっているのでしょうか。

    新規顧客開拓、リピート来店のきっかけになっているか?

    位置情報に登録することがリピートのきっかけになるのでしょうか。特に1日だけのキャンペーンなどでは、初めてその店を訪れるきかっけにはなるでしょうが、リピートのきっかけにはなりにくいでしょう。

    口コミ情報として定着するか?

    どのサービスでも位置情報登録したときに、簡単なコメントを登録することができます。しかし、まだまだ登録情報が少なく、クチコミ情報としてはあまり頼りになりません。私が見た限りでは、なぜかアメリカでもFoursquareのコメント登録はそれほど多くないのです。

    これは、レストラン情報に特化した「食べログ」など別のサイトほうにユーザーが集まっていることが理由の1つでしょう。

    将来への期待:その他の情報と融合して価値を生む

    位置情報サービスの活用を考えてみると、位置情報だけではユーザー側も小売店、レストラン側もメリットを受けにくいのです。

    その人がお店の近くに来たときに、自動的にディスカウント情報を配信する、といったサービスも試みられてはいますが、ユーザーが興味がない場合は、押し付けがましい広告としか認識されないし、ユーザーに立ち寄る時間がなければ配信しても効果はありません。

    しかし今後、以下のようなことが可能になれば、ローカルビジネスにとって新しい価値を生むチャンスになります。

    行動履歴を利用したリコメンデーション

    あるユーザーがある街の居酒屋A、B、Cで位置情報を登録している場合、同じ街の居酒屋Dをおすすめとして表示するといったサービスです。

    他人の行動履歴を利用した観光案内の紹介

    他の人の行動履歴と本人の趣味とあわせて、人気のデートコースや観光案内を表示するサービスです。

    習慣を新しい商品開発に

    あるユーザーがパン屋でサンドイッチを買った日は、必ずコーヒーショップでコーヒーを買うという特定の習慣があることを分析するサービスです。サンドイッチ屋とコーヒーショップが協力してサービスを提供するなど、新しい商品開発が企画できます。あるいは、ユーザーの固定習慣をくずすことも可能です。コーヒーではなく、オレンジジュースのディスカウントチケットを配り、新しい習慣を提案するといったことです。

    位置情報を利用したこうしたサービスが実現すれば、ローカルビジネスにとっては大きなメリットになりそうです。そのほか、どんなアイデアや期待がありますか?

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