TwitterとFacebookのデータからわかる大統領選挙

2012年のアメリカ大統領選挙においてソーシャルメディアのデータは選挙戦をどのように物語るのでしょうか。たくさんの情報が選挙当日、ソーシャルメディアを通してシェアされました。

最も話題になったのがオバマ大統領の勝利宣言のツイートでしょう。オバマ大統領がミシェル夫人をハグする画像がついたこのツイートは、実際に投稿されてからわずか1時間で30万ツイートを記録しました。そして11月18日現在は、81万回リツイートされています。

今回は、TwitterとFacebookでシェアされた大統領選挙に関連するデータを紹介しながら、ソーシャルメディア上で選挙がどのように語られたのかをみてみます。

Twitter:ハッシュタグとツイート内容が選挙を物語る

Techonomy による「What Social Media Told Us on Election Day」で、選挙に関連するツイートをビジュアル化したデータを公開しています。この記事は、ソーシャルメディア上のデータ解析などを行うSocialFlowのR&DチームのGilad Lotan氏によるものです。

ハッシュタグでわかる選挙当日の流れ

以下は、選挙前々日から選挙日までに使われたハッシュタグの推移です。

選挙当日の朝から、ハッシュタグ「#Vote」(投票)(濃青)が使われました。これは今日が投票日だ、というようなツイートが多かったことが考えられます。徐々に時間が経つに連れこのハッシュタグは減少し、実際に投票に行った人が「#iVoted」(投票した)(緑)というハッシュタグをつけてツイートしていくようになります。「#iVoted」は全体で60万回ツイートされました。

選挙日後半は、「#StayInLine」(並んでる)(赤)というハッシュタグが急増します。これは、投票所が閉まるときにまだ並んでいた人たちが、投票が終わるまで閉めるなと抗議するツイートを流すときに使われました。その後、選挙結果が公表されると「#Obama」が急増しました。

使われたハッシュタグをビジュアル化

上記のグラフからは選挙日当日に多く利用されたハッシュタグの推移がうかがえますが、選挙当日はもっと多くの選挙に関連するハッシュタグやフレーズが使われました。

以下は「 #iVoted 」(投票した)というハッシュタグを使ってつぶやかれたツイートの中に含まれているフレーズ、ハッシュタグ、ユーザー名をビジュアル化したデータです。このデータではさらに、投票したという事実をツイートした人が別のツイートでつぶやいている語との関連性をマッピングしています。

つまり、最も大きな円が最もたくさんツイートされたハッシュタグやフレーズで、最も近くに表示される円が最も多く共通してツイートされたものであるというように表現されています。色は、政治的な偏りを示しており、青は民主党、赤は共和党、紫は両方について言及しているものです。

右側のデータをさらに詳細に見てみると、ロムニー候補に投票した人がツイートしている内容として「 #gop」(Grand Old Party:共和党の別名) 「#teaparty」(ティーパーティー)、「#nobama(No obama)」などをツイートしていることがわかります。

一方の左側を詳しく見ると、もっと漠然とした語、「#proud」(誇り)、「#forward」(先) 、「#equality」(平等)などが、オバマ支持者からツイートされていることがわかります。また、左側の特徴として「#lgbt」(同性愛者、バイセクシャル、トランスジェンダー) や「#gay rights」(同性愛者の権利)が一緒にツイートされていることが多いことがわかります。

このデータから、Twitterでは、ハッシュタグを使って選挙についてツイートされたことによって、ソーシャルメディア上でどのような話題がシェアされ、またツイートの内容の相関を見ることで、有権者がその候補者に期待していることや主張が見えてきます。

60万回ツイートされた「#iVoted」では、多くのユーザーが投票したという事実だけでなく、誰に投票したか、なぜ投票したかを記載しており、こうしたツイートは今後の選挙活動や政治にも影響を与えるものとなりそうです。例えば、選挙活動として一つのキーワードを繰り返すことで、ハッシュタグが作られ、支援者がツイートしやすくなるというようなことが考えられます。

Facebookの「投票に行きました」という特別なアクション

Facebookでは、大統領選挙はどのように語られたのでしょうか。

Facebookでは、2008年のアメリカ大統領選、2010年の中間選挙に続き、今回の大統領選挙でも、選挙当日には以下のような特別なメッセージがニュースフィードの一番上に表示されるようになっていました。

投票に行ったら「I’m a Voter」を押します。さらにどこで投票したかを選択することもできます。右側にすでに投票に行った友だちの顔も表示されるようになっています。

先日の2012年のアメリカ大統領選挙においては、約968万人が「I’m a Voter」をクリックしました。これは、アメリカのFacebookユーザーのうち、8.6%がアクションをシェアしたということになります。

しかも、このデータは「America Votes 2012」というFacebook内に作られた特設サイトでリアルタイムにデータが更新されていました。以下の画面は日本時間の午前9時(選挙日の後半)の画面です。

なお、この特別なアクションのシェアでは、投票に行ったということと、投票した場所を任意でシェアできるようになっていますが、実際に誰、あるいはどの政党に投票したのかということはシェアできない仕様になっています。

「America Votes 2012」では、現在もFacebookで投票についてのアクションをシェアした人のデータが公開されています。どの時間帯に最も多くアクションがシェアされたのか、男女比、年齢比などがわかります。アクションをシェアした人のうち、65%が女性、また31%が25ー34歳となりました。

Facebookデータサイエンスチームでは、Facebook上でシェアされたアクションをデータとして分析した結果を以下の記事にて紹介しています。

The 2012 Election Day Through the Facebook Lens

アクションをシェアした女性は男性の2倍!しかし通常も・・・

「America Votes 2012」のリアルタイムデータでは、地域の投票状況、男女比率なども表示されていました。この時、地域によるばらつきもあることに気づきましたが、明らかに女性のほうが男性よりも多くアクションをシェアしていることに気づきました。

そして最終的な結果でも、女性のほうがおよそ2倍Facebook上で選挙に行ったというアクションをシェアしています。このデータから女性のほうが今回の選挙に積極的だった、と考えてしまうかもしれませんが、そのようにいうことはできません。

Facebookデータサイエンスチームでは、以下のグラフを紹介しています。こちらは、左から順に、通常のコメント、「いいね!」、近況のシェア、そして一番右が投票のシェアをしている男女の構成比です。

つまり、普段からFacebookで積極的にコミュニケーションをとっているのは女性であり、常に男性のおよそ2倍になっているのです。今回の選挙もいつもと同じような傾向を示しており、このデータだけでは「女性は選挙についてソーシャルメディア上でシェアする」という結論を導くことはできません。

政治観による投票率

Facebookでは、個人プロフィールの「基本データ」の中に「政治観」を登録することができるようになっています。支持政党や主義、政治家などを登録することができます。

日本でまじめに政治観を登録して公開しているユーザーは滅多にみかけませんが、アメリカでは多くのユーザーが登録をしています。

Facebookデータサイエンスチームでは、プロフィールに登録された政治観と投票のアクションをあわせて分析した結果として以下のグラフを公開しています。

このデータから、政治についてコミュニケーションしたいかどうかがうかがえたと、Facebookデータサイエンスチームは述べています。

例えば、政治観に「なし」と登録しているユーザーのうち、投票にいったことをシェアしたのはわずか7.3%であったのに対し、政治観を「バラク・オバマ」としているユーザーは2倍の18.2%になり、最も多くなっています。

なお、Facebookで政治観として登録できるものは、党名、主義、政治家などにわたるため、Facebookデータサイエンスチームでは、登録されている政治観のうち上位500を民主、共和、穏健、特に無しの4つに分類しました。4つに分類した上で、それぞれのFacebook上での投票したことをシェアした率の年齢分布を以下のように発表しています。オバマ大統領は民主、ロムニー氏は共和党です。

こちらでも、政治観特になしのユーザーが最も投票に行ったことをシェアしていません。民主が最も多くシェアをしており、特に若い世代でシェアしている人が多いことがわかります。

モバイルからシェアした人

Facebook上で投票に行ったことシェアできる機能は2008年の大統領選挙からありますが、今回初めてモバイル端末からも選挙に行ったことをシェアできるようになりました。

結果、投票のアクションをシェアしたユーザーの46%がモバイル端末からのシェアでした。以下は、モバイルからシェアしたユーザーの年代別の割合をグラフ化したものです。20代、30代では実に半数以上がモバイルからシェアしていることがわかります。

まとめ:日本の政治はソーシャルメディア上で語られるか

今回は2012年のアメリカの大統領選挙におけるソーシャルメディアの使われ方についての興味深いデータを紹介しました。ユーザーのソーシャルメディア上の声を聞くことで、選挙戦の大局や投票者の期待がわかるようになってきました。

しかし、記事中でもあるように、有権者のうちソーシャルメディア上で政治を語る人や投票についてシェアする人はまだごくわずかです。

そして、敢えてソーシャルメディア上で政治について語っている人は、政党や候補者の強烈な支持者であったり、訴えたい主張あるいはモチベーションがある人だと考えられ、バイアスがかかっているということにも注意しなければなりません。

ソーシャルメディア上の声で選挙の行方を予測するというような活動も行われていましたが、まだまだソーシャルメディア上で政治について語るのは敷居が高く、データ数が少ないということは意識しておくべきでしょう。

日本でも2012年12月には国政選挙を控えています。日本でソーシャルメディア上で政治について語るのは、アメリカよりももっと敷居が高いことだと思うので、どれくらいのデータが収集できるのかは定かではありませんが、何らかの形で紹介されるでしょう。

ソーシャルメディア上の声というような形でデータが紹介されたとき、その収集データの出所や分析手法、発表者のバイアスなどを考慮した上で、見る必要があるといえます。

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