ソーシャルメディアが情報の発信基地に:Facebook、Pinterest、ソーシャルテレビ

本記事は、2012年8月3日に開催された「ソーシャルメディアサミット in 関西2012」のセッションである「オウンドメディア化するアーンドメディア、ソーシャルメディアの未来」についてのイベントレポートです。

このセッションでは、ダイワハウス工業、ネスレ日本、日本テレビ放送網のそれぞれの現場の担当者が、ソーシャルメディアをどのように活用しているかという実態について語られました。

オウンドメディア化するアーンドメディア、ソーシャルメディアの未来

  • モデレーター: 安田英久氏(Web担当者Forum 編集長)
  • パネリスト : 安藤 聖泰氏(日本テレビ放送網株式会社 編成局メディアデザインセンター)
  • パネリスト : 揖斐 理佳子氏(ネスレ日本株式会社 デジタルメディア開発ユニット ユニットマネージャー)
  • パネリスト : 王 暁娟氏(大和ハウス工業株式会社 総合宣伝部デジタルメディア室)

いわゆるトリプルメディアといわれる、オウンドメディア(自社サイト)、アーンドメディア(SNS、ブログなど)、ペイドメディア(広告)。今回のディスカッションでは、アーンドメディアであるソーシャルメディアの自社メディア化が進んでいるというテーマで、実際にソーシャルメディアを運用している3社が、異なる立場、視点からディスカッションを行った。

安田英久氏:

最近、ソーシャルメディアの使い方、立ち位置が変わってきて、自社メディアの一つのようになってきていますが、今回は企業が自社サイトとどう組み合わせて活用しているかということについて、お伺いしたいと思います。

それぞれ順番にどんなことをされているのか、お願いします。

投稿の質に自信があるから投稿を使ったFacebook広告を配信

大和ハウス工業:王 暁娟氏

ダイワハウスのFacebookページは2011年4月に開設しました。目的は3つあって、ファンを獲得すること、ダイワハウスに親しみを持ってもらうこと、そしてダイワハウスの方針や活動に共感してもらうことです。

ファン獲得のために、Facebookページで「いいね!」を押してから応募できるプレゼントキャンペーンなどを実施しています。高額なインセンティブを出して無理に伸ばすのではなく、プレゼントを通してロイヤリティを高めることを目指しています。

ページでは、いろいろな試みをしていて、CMキャラクターをカバー写真にしたり、投稿のネタにしたりもしています。

Facebook広告は定期的に配信しており、初期は最も一般的な「ページの宣伝」としてページの案内などをしていました。当初は広告の量が少なかったこともあって効果があったのですが、次第に広告の数が増えるに連れ、クリック数が下がってしまいました。そこで、最近は投稿の質に自信があるので、投稿の内容を広告にして配信しています。

親しみを持ってもらうという目的に対しては、話題にしている人の数を2割に、各投稿の反応を1割のユーザーからもらうことを目指して運用しています。反応については、シェアとコメントについては件数ではなく、内容で評価しています。具体的にはネガティブな反応はマイナス、ポジティブな反応はプラス10というように計算しています。

投稿は写真をつけることで、より盛り上げることができるので必ずつけるようにしています。住まいに関連数ちょっとしたアドバイスをしたり、リアルタイムでイベントを紹介するなどしています。

社員にコメントをもらって「生の声」を伝え、身近に感じてもらうような工夫もしています。

ユーザーの声から始まった店長紹介シリーズ

以前、とあるダイワハウスの店長を写真と一緒に紹介したら、ユーザーさんから「自分の知っている○○店長も紹介してほしい」というコメントをいただき、すぐにその店長にも登場してもらい、シリーズ化することになりました。こうした交流を通して共感に繋げられたらと思います。

このエピソードは実はすごいことだと思っています。お客さんが店長を慕っているという情報は、これまでも伝えたかったのだけれども、どこにも伝える術はありませんでした。こうしたユーザーさんが直接言ってくれることで、ダイワハウスにはこういうつながりもあるのだなということが伝えられました。

実は、リクエストをいただいた店長はFacebookを知りませんでしたが、Facebookページに掲載されることをきっかけに利用を始めました。最近は、オーナーさんとつながって、Facebookを通してコミュニケーションを続けられているようです。リアルなコミュニケーションが得意な人は、Facebookのコミュニケーションもうまいので、そういうところは伸ばしていけたらと思います。

Facebookページから「資料請求」に進むというような反応は少ないですが、実際に問い合わせをいただいたこともあります。ファンとインタラクティブにつながるためのオウンドメディアになっているようになっていると感じています。

事業部の協力を仰ぎながら、一人で運用を切り盛り

安田英久氏:

王さんはFacebookページの運用をお一人で担当されているんですよね。大変ではないですか。

大和ハウス工業:王 暁娟氏

そうですね、運用は私だけでやっています。もちろん各事業部に声をかけて、定期的にネタを提供してもらう編集会議は行っています。昔よりも仲間が増えてきたと感じています。

投稿数の頻度はファンの反応を見ながら変えていますが、少なくとも最新の投稿から3時間はあけるようにしています。

Facebookだけを専業でやっているわけではなく、他の事業部のサイト運営などもやりながら、投稿、コメントの返信などをやっています。ページを運用するというのは、お客様とコミュニケーションする大事な役割だと思っています。

Pinterestは商品に絶対にあう!という直感と確信

安田英久氏:

ネスレさんはどのような活用をされています。

ネスレ日本:揖斐 理佳子氏

ネスレでは昨年の10月から企業の公式アカウントは運用せずに、ペリエ、キットカット、ネスプレッソの3つのブランドごとに用意して運用しています。Twitterも同様でキャンペーンに合わせてアカウントを作成しています。

ソーシャルメディアの取り組みは、遅れてしまいましたが、Pinterestは積極的にやりたいと思って、今準備をしています。その理由は、Pinterestの利用者はネスレのターゲットとあっていることにあります。

アメリカのショッピングサイトでは、Pinterestを活用することで訪問者、売上共に上がっているというデータがあります。この話を聞いたときに、「画像収集サイトなのになぜ?」と思いました。そこで自分で使ってみたのですが、その時にあっと驚くことがありました。

衝動買いを誘発するPinterest

実は私、温泉が嫌いなんですが、ある日、紫色のきれいな写真があったのでクリックしてみたら、黒川温泉のサイトに飛びました。いつもは温泉の情報は見ないのですが、Pinterestであれば、画像から誘われてサイトに行ってしまいました。

Facebookだと、黒川温泉「いいね!」なので興味のない人は見ませんが、Pinterestの場合、衝動買いを誘発するようなところがあります。こうした経験から、日本においてもPinterestは売上に貢献するのではないかと考えました。

会社を説得するためには、楽天の例などを使って最大のソーシャルメディアになると説得しました。

その後、ECサイトの仕組み少し変更しました。古いコンテンツが流れていくのではなく、ストックできるようにしたのです。バレンタインの写真をPinしても、サイトからなくなってしまうったら、アクセスしてもエラーになってもったいないからです。

ソーシャルメディアは、やはりユーザーのいうことを聞くところだと思っています。ネスレはあくまでユーザーの一人で、ユーザーと同じ立ち位置になります。

オウンドメディアの場合は、自分たちが伝えたいことを情報を出すことができるので、Pinterestをオウンドメディアとして使っていきたいと思います。

安田英久氏:

実はPinterest、何がおもしろいかわからなかったのですが・・・。
王さんと違うのは売上を上げるという明確なゴールを持って取り組まれるのですね。
日本テレビさんの場合はどうでしょうか。

バルスのあの瞬間、視聴率が5%も上がった

日本テレビ: 安藤 聖泰氏

「通信と放送の融合」なんて言われていたこともありましたが、今は完全に死語ですね。今は、マスメディアとソーシャルメディアをどう融合させるかということで、それが当たり前になっています。

FacebookやTwitterなどでは、すでに番組ごとに数十単位でアカウントがあります。LINEでも情報番組のZIP!などのアカウントを用意しています。

Twitterのバルス祭りでは、バルスの瞬間に5%視聴率が上がりました。あれくらいのクラスになると視聴率にも影響します。といってもラピュタは、宣伝をしたわけではないのですが。

JoinTVは世界初の試みで、Facebookとテレビを連携させる試みです。テレビならではのおもしろいことができないかと思っています。JoinTVのコンセプトは、友達とつながって一緒にテレビを見ることで、「家族団らん」を「友達団らん」にします。

仕組みは簡単で、テレビをネットにつなげればどんなテレビでも対応できます。通常の放送電波と、そのユーザーに合わせた情報を生成してテレビで一緒に表示されるので、友達の誰が見ているかがわかりますし、コメントをしあったりすることができます。見ている番組のシーンをシェアすることもできます。オマケ的にFacebookから取得した誕生日情報を使って星占いの結果も表示します。

すでに3番組で対応していました。先日は映画「サマーウォーズ」にも対応しました。

サマーウォーズでは、映画の中の悪者が番組のクイズを出しているという設定で、映画についてのクイズを出題しました。直接回答することもできますし、友達の回答やランキングもわかります。

また、「バルス」をもう一度ということで、映画の中で主人公が「よろしくお願いしまーす」をシェアしようという呼びかけも行いました。

テレビ番組というマスメディアの企画と友達という閉じた関係を組み合わせるというのはこれまでできなかったことで、これから何ができるかを考えています。

テレビはこれまで視聴率という基準しかありませんでした。そこで届いた人で終わりですが、ソーシャルメディアのシェアを組み合わせることで、テレビを見た人が見ていなかった人に情報を広めてもらえるようになります。テレビの伝えたいことをそれ以上に伝えられるようになります。ネットで当たり前にできることを、テレビでも取り込んでいきたいですね。

画像によるコミュニケーションが盛んに

安田英久氏:

ソーシャルメディアを使うときどうやったらうまくユーザーをまきこめるかということで、議論できればと思います。
ダイワハウスの王さんはどうでしょうか?

大和ハウス工業:王 暁娟氏

Facebookページの場合は、ほとんどの人が友達、家族とつながるのがメインになっていて、企業のFacebookページにはついでにつながる、という感じだと思います。だから、友達感覚でつながる必要があって、友達のように話しかけたり、投稿する必要があると思っています。

ニュースリリースを投稿してしまったら自爆ですね。ユーザーはニュースリリースというだけでスルーしてしまいます。

また最近はニュースフィードがTwitterのように混み合ってきていますので、目立つように写真は重要です。必ず、写真をつけるようにしています。

安田英久氏:

ネスレの揖斐さんも画像中心のPinterestを重視されていますね。

ネスレ日本:揖斐 理佳子氏

コミュニケーションの全体の流れが右脳化しているように感じます。

テキストサイトからブログへ、ブログからTwitterとどんどんテキストが少なくなって、ついには画像サイトのPinterestに行き着いたという感じです。LINEもスタンプだけでコミュニケーションする人が多いですし、文章を通したコミュニケーションから、画像など直感的なコミュニケーションに移っています。

企業も全体のトレンドをとらえて、右脳系のコミュニケーションをしていく必要があるでしょう。

でも最終的に購入の判断をするときは左脳になります。Pinterestでビジュアル要素でサイトまで誘導できたら、その先にはテキストを用意しておく必要があります。

大和ハウス工業:王 暁娟氏

ダイワハウスの場合も、写真を見て、こういう家に住みたいとか、そういうコメントをいただくこともあります。実際に「買いたい」という人もいるので、そういう場合は事業部に伝えて、メッセージをお願いしています。

私は、ソーシャルメディア担当というより営業マン的な存在でもあります。

数値化が難しいなかで、どうやって影響をはかるか

安田英久氏:

コストはどのくらい掛けられているのでしょうか。また売上への影響はどうでしょうか。

ネスレ日本:揖斐 理佳子氏

小売店ではないので売上の影響は見えにくいのが実情です。ネスレはダイレクトに見えないということを前提にKPIをたてています。

大和ハウス工業:王 暁娟氏

ダイワハウスの場合、運営は内製なので、人件費のみです。あとは事業部の方の協力で運営しています。

サイトへの誘導やトラフィックの増加などは見ていますが、投稿が面白いから買ってみるというような商品ではないので、評価はしにくいです。

ただ、家の購入を検討したときに、いろいろある中でダイワハウスに好感を持ってもらえて検討の候補に入れてもらえればいいと思います。

信頼できるんだという事実をコミュニケーションを通して作っていきたいと思っていて、それは数値化はできないけど、いいね数だけではなく、コメントの内容なども含めて判断しています。

判子の承認が「いいね!」の承認に!

安田英久氏:

社内の調整などはどのようにやっているのでしょうか。

大和ハウス工業:王 暁娟氏

最初は上の人に説明しても理解してもらえなくて、投稿内容を毎回印鑑を押してもらうなど時間がかかっていました。

これでは駄目だと思い、上司にFacebookアカウントを作ってもらいました。「編集会議」という秘密のグループを作り、そこに投稿をして「チェックお願いします」と依頼します。今では「いいね!」が判子の代わりになっています。

安田英久氏:

揖斐さんのところは、経営陣巻き込んで説得したんですか。

ネスレ日本:揖斐 理佳子氏

ネスレでは最初にCEOに説明して、OKだったら社員のほうに説明するという流れになっています。

ネスレでは基本的には代理店は使わずに、自分たちで企画を立ててCEOに説明して、それから各部署にお願いします。もちろん、部署単位では代理店と協力して制作していますが。

自分たちの部署は先端的なことをやる部署なので、代理店よりも進んでいる必要があると思っています。

ソーシャルメディアによって今までできなかったことが可能に

安田英久氏:

JoinTVは誰のために作ったのでしょうか。見ている人か、メディアのためか、スポンサーのためなのか、といったらどこですか?

日本テレビ: 安藤 聖泰氏

テレビを観ている人に、これまでTVではできなかった新しい体験をしてもらいたいのがあります。もちろん、それをきっかけにスポンサーにもアピールしたいです。

ソーシャルメディアと一言で言っても、いろいろだと思っていますが、テレビと組み合わさせることで、テレビが見るだけのものから、話題にして友達と楽しむものになっていきます。これから、よりテレビは価値を高めていくと思っています。

安田英久氏:

なるほど。皆様ありがとうございました。

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