ソーシャルリスニングで何が見えるか?

本記事は、2012年8月3日に開催された「ソーシャルメディアサミット in 関西2012」のセッションである「ソーシャルリスニングで読み解く​ソーシャルメディアの法則」についてのイベントレポートです。

ソーシャルリスニングで読み解く​ソーシャルメディアの法則

講演企業: セールスフォース・ドットコム

講演者 : 加藤 希尊氏(Salesforce Radian6 ブランド マネージャー)

ソーシャルメディア解析ツールのRadian6や、ソーシャルメディアマーケティングプラットフォームBuddy Mediaなど、次々にソーシャルメディア関連企業を買収しているSalesForce.com。

今回の「ソーシャルリスニングで読み解く​ソーシャルメディアの法則」では、買収したRadian6を活用したソーシャルメディアのデータ解析をマーケティング施策にどう活かすことができるかということについて、加藤 希尊氏が登壇した。

以下の3つのトピックを例にして、ソーシャルリスニングで何がわかるのか、収集したデータからどういう解釈ができるかを紹介した。

  • 地球規模の出来事 : 金環日食
  • 企業の製品・サービス : Facebook
  • 個人・著名人 : スギちゃん

金環日食ではカメラメーカは大失態を犯した!?

2012年5月21日の金環日食当日、ソーシャルメディア上ではどれくらい、金環日食についての言及があったのか。以下が、5月の言及数だ。5月21日のピーク時には、言及は8万件にも達したという。加藤氏は「国民的な関心ごとであり、金環日食を見たことをソーシャルメディア上にシェアした結果」という。

さらに、金環日食とあわせて使われている単語を分析すると以下のようになることがわかった。

大多数の人が「カメラ」「デジカメ」という単語と共に、金環日食についてポストしていることが一目瞭然だ。

先程の「金環日食」という投稿の件数と、「カメラ」「デジカメ」についての投稿を重ねてみると、非常にわかりやすい相関が見られた。それが以下の図だ。

青い線が「金環日食」、赤い線が「カメラ」「デジカメ」の言及数を表している。通常、1万件くらい言及されている「カメラ」「デジカメ」は、5月21日に5倍ほど増えて5万件となっているのだ。このデータから「金環日食のタイミングでカメラの言及があがる」という事象が明らかになった。

投稿の内容は、以下のようなものが多く見られた。

  • カメラ買った
  • カメラで撮った
  • 太陽を撮るとカメラが壊れる
  • カメラ損傷覚悟
  • カメラを充電したのに寝過ごした

次にカメラ全体の言及量とカメラブランドについての言及量を比較してみたのが以下の図だ。

赤い線がカメラ、それ以外がブランド各社の言及だ。加藤氏は、「カメラ業界が金環日食という千載一遇の機会を活かしきれなかった」とバッサリ。

これらのデータから以下の3つのポイントを加藤氏は導いた。

  • 日食、月食の際は、カメラの言及が伸びる
  • カメラが使用されるため、撮る対象だけでなく、関連するワードも言及が増える
  • 言及が増えるタイミングは予測できる

さらにこれらのデータを分析結果から、天体ショーの当たり年と言われる2012年の後半、カメラメーカがとるべきマーケティング活動として、以下の3つをあげた。

  • 日食や月食をソーシャルメディア上でシェアするキャンペーン
  • 安全に天体ショーを撮影する方法の案内
  • 「日食を撮る」という言及を自社のプラットフォームに取り込む

「ソーシャルメディア上でのデータモニタリングを基軸にすることで、こうした提案ができるようになる」と加藤氏。

初心者ユーザーを取りこぼし過ぎ:Facebook

続いてのデータ分析はFacebookだ。

Facebookについての言及を1ヶ月モニタリングすると、およそ100万件ほどのデータがあるという。その中から、「始めた」「登録した」の言及だけに絞りこむと、およそ1万2千件、1日に500件くらいの言及があるという。

その中から、「始めたけどわからない」という言及に掘り下げてみると、1ヶ月でおよそ3,300件ほどになるという。これは、「Facebook始めた」という言及のうちの、およそ3割にあたるという。

「始めたけどわからない」という言及の詳細を見ると、残念なことがわかった。具体的に何がわからないかを言っている人はほとんどおらず、自分が何がわからないかさえもわからない人がほとんどなのだ。

加藤氏はこれらのデータから、Facebookの国内展開における以下のような状態を指摘する。

  • アーリーアダプターから、友達が始めたから始めるというようなフォロワー層の利用者が増えている
  • 始めたけれどわからないで放置している人が約3割

登録した初心者ユーザーの3割をアクティブ化できていないFacebookは、以下のような大作が必要だと言う。

  • 初心者向けコンテンツの提供と初心者のアクションの誘導
  • ユーザー同士のサポートができるようなコミュニティの誘導

スギちゃんの人気はいつまで持つか?

最後のデータ分析は、お笑い芸人の「スギちゃん」だ。

スギちゃんのネタである「ワイルドだぜー」「ワイルドだろー?」の3月から5月にかけての言及の推移を見ると、以下のようになる。

図からもわかるように、3月20日を境に急速に言及数が増加している。この日に一体何が起こったのか。実は「R-1ぐらんぷり」で準優勝したのだ。それ以降、1日に2,000件から5,000件ほど言及されるようになった。

一体何が語られているのか。

データを分析すると、「コーヒー」「コーラー」などの飲み物系(「熱いコーヒーを一気に飲んだぜ、ワイルドだろー?」など)、お風呂などの日常生活系(「防水じゃないスマフォをお風呂で使うってワイルドだろー?」)など、一つのキーワードがいろいろな商品やライフスタイルと組み合わせて言及されていることがわかる。

では、「ワイルドだぜー」「ワイルドだろー?」に、「古い」「飽きた」というキーワードがついている言及はどれくらいあるのだろうか。

このデータから「ワイルドだぜー」と「古い」「古い」「飽きた」というキーワードが組み合わされている言及は、まだ数十件であることがわかる。よって、スギちゃんは、もうしばらく、秋以降くらいまでは「大丈夫」だと言えるだろう。

これらの結果から、「ワイルドだろー?」「ワイルドだぜー」はソーシャルメディアと相性が良いので、身近なものや商品と組み合わせたキャンペーン(「あなたのワイルド体験聞かせて」など)の展開ができそうだと加藤氏は述べた。

ソーシャルメディアマーケティングの3つの法則

さて、とてもわかりやすい3つの事例だが、加藤氏は最後にソーシャルリスニングについての3つのポイントを以下のように整理した。

まずソーシャルリスニングの大前提として、市場の声を理解する、商品やサービスが置かれている業界動向や評価などを理解することにある。

これを踏まえて、ソーシャルリスニングによって以下の3つが実現できると加藤氏はまとめた。

1,需要を取り込む

金環日食の例でもわかったが、イベントなどが発生することで人々の関心が集中し、自発的に話題にする。こうした需要を取り込んで、先回りして話題を提供したり、盛り上がっているソーシャルストリームを自社のプラットフォームに取り込んで、追い風にすすることができる。

2.マイナス要因を減らす施策を

Facebookの例でもわかるように、ユーザーは困っていること、不満なことをソーシャルメディア上で伝えている。こうしたマイナス要因に気づき、それを減らすための施策を用意することができる。

3.プラス要因を増やす

盛り上がっていることであれば、さらに後押しするようなキャンペーンを企画して盛り上げていく。

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