コミュニティ運営に必要なスキル:伝える力を最大化するとは

2012年3月16日、Facebookのマーケター向けイベントであるfMCのサテライト版が東京で開催されました。

今回は、このイベントに参加して感じたFacebookの方針を整理し、その上でFacebook以外のソーシャルメディアを含め、今後企業やブランドとしてオンライン上でコミュニケーションを行う場合に、求められる要件について考えました。

なお、fMC Tokyo 2012のレポートはFacebookの写真アルバムを使って公開していますので、参考にしてください。

fMC Tokyo 2012:フォトレポート

(写真をクリックすると、各スピーカーのお話やスライドの説明が表示されます)

コミュニケーションを重視したプラットフォームへ

fMC Tokyo 2012の登壇者が共通して言っていたことの一つが、Facebook上のコミュニケーションを通して、企業やブランドがユーザと関係を築くことの重要性です。

Facebookは友達と会話をする場所であるという前提で、企業やブランドはその中に入って、友達との会話と同じようなスタイルでコミュニケーションを行うこと、ユーザーが友達に伝えたくなるような話題を提供すること、それがFacebook上での理想的な振る舞いであることが強調されていました。

当然ですが、「いいね!」は数ではなく質であることも繰り返され、本当のターゲットに正しく情報を配信することについても話されました。

コミュニケーションを重視しないページの広告はユーザーエクスペリエンスの質を下げる

企業やブランドがコミュニケーションを通して関係を構築することの重要性は、これまでも言われていました。今回、この点が改めて強調されたのは、新しいFacebookの広告システムを考えると、この要件を理解していないFacebookページによる広告配信は、Facebook全体のユーザーの満足度を下げかねないからです。

例えば、プレミアム広告は、これまでの右サイドバーの広告表示の位置だけでなく、以下のように、ニュースフィードやモバイルのニュースフィードにも表示されるようになります。

3月に入ってから、日本国内でもニュースフィードの広告表示が実験的に運用されているようで、先日見かけることがありました。これを見たときに、スポンサー記事(広告)であることに気がつかずに、クリックしました。

今後ニュースフィードやモバイルに、「友達が「いいね!」と言っています」というようなスポンサー広告だけでなく、Facebookページの投稿をそのまま広告として表示されることもあります。

Facebookは広告設定にしたがって配信せざるを得ませんので、いかにも売りつけようとするような文言の広告も、ユーザーのニュースフィードに表示されるようになってしまいます。

ユーザーが「Facebookには広告ばかりが表示されるようになった」という印象を抱き始めたら、ユーザー離れにつながりかねません。

そこで改めて、今回のイベントでFacebookは交流の場であること、シェアされるようなコンテンツが必要であること、長期的に関係を築くことの価値が訴えられたのではないでしょうか。

本物のファンを育て関係を構築する

新しい広告を展開するための意識改革というと、あまりよくない印象を与えるかもしれませんが、ユーザーとの関係を第一に考えたFacebookページ運用というのは、企業やブランドにとっても重要な施策です。

一方的に自分の都合のよい情報を発信しても伝わらないということは、ここ数年間ソーシャルメディア運用をしてきた人の多くが実感しています。

そして、よいコンテンツであれば、企業やブランドがお願いをしたり、特典をつけることがなくても、ユーザーが自ら進んでシェアをしてくれ、広がっていくということも実感しているはずです。

こうしたシェアをしてくれるユーザーについて、fMC Tokyo 2012では「ブランドの一部になってくれる」という表現がされていましたが、まさにその通りで、Facebookページからの情報をシェアしたり、話題にしてくれるユーザーがいてくれるおかげで、露出や認知度を高めることができます。

ソーシャルメディア運用に必要なコミュニティマネージャー

もちろん、ユーザーとのコミュニケーションを通じた長期的な関係の構築は、Facebookだけにいえるものではなく、Twitter、Google+、YouTube、mixiなど、すべてのソーシャルメディア運用に共通していえることです。

ソーシャルメディアを介してコミュニケーションを行うことは、企業にとって外せない戦略になってくるはずです。

なお、ソーシャルメディアに限らず、オンライン上のコミュニティを管理・運営し、時にはオフラインのイベントも取り仕切るような役割は、「コミュニティマネージャー」と呼ばれています。アメリカのソーシャルメディア関連の求人を見ると、コミュニティマネージャーの役職の募集が多いことがわかります。

しかし、日本国内においては、ソーシャルメディア担当者を専任で置いたり、わざわざ募集をかけて新しく人を雇うことはまだ少ないのが現実です。それどころか、担当者が隙間時間に運営しているというところが少なくありません。

まずは組織としてオンラインコミュニケーションの重要性と価値を理解し、企業戦略において外せない職務であることが認知されなければいけないでしょう。

コミュニティを運営するために必要な条件

さて、ユーザーとの良好な関係を構築するためのコミュニケーションを行うために必要な要件を考えてみましょう。もし、企業としてソーシャルメディアの担当者を新しく雇いたい、あるいは外部の担当者にサポートしてもらいたいと考えたときに、これらの要件を満たせるかどうかを考える必要があります。

ブランドについてのストーリーを語れること

fMC Tokyo 2012で、「ストーリーを語る」ということもが盛んに訴えられていました。例えば、新しいFacebookページの仕様であるタイムラインは、「ブランドに命を吹き込むストーリを作れる」というような表現がされていました。

タイムラインでは、創業年やサービスの開始などを登録することができますが、単に年表のように登録するだけでなく、写真や言葉を使って表現することで、物語を伝えることができるでしょう。

上記は、Starbucksのタイムライン「開業」にある写真で、シアトルのパイクプレイスマーケット内にある最初の店舗の様子が写っています。創業当時のセイレーンのロゴや街の様子などが伝わるよい写真です。この一号店は観光地としても有名なので訪れたことのある人も多く、この写真を見たときに自分が店を訪れたときの記憶や感情を呼び起こす人もいるかもしれません。

ソーシャルメディアの運用担当者は、よいストーリーを語るために、企業やブランドの歴史や文化、思いなどについても、理解していることが必要です。そして、担当者が理解しているということは、会社のストーリーが共通認識として社員に共有されているということでもあります。

顧客の声を聞き正しく反応できること

コミュニケーションは、双方向であるべきです。ユーザーとの会話ができるような問いかけをしたり、参加できるような雰囲気を作ることも、ソーシャルメディアの担当者は必要です。

数が多くなれば、すべてのコメントに返答することは難しいかもしれませんが、できる限りコメントに適切に反応することがコミュニティを盛り上げるコツです。

かといって、すべてに同じテンプレートで返すのは、コミュニケーションとは呼びませんし、過剰に「ありがとうございます」を繰り返す(投稿に「いいね!」をクリックした人全員に「いいねありがとうございます。」とコメントを入れるなど)のも、正しいコミュニケーションであるとはいえないでしょう。

反応の方法は、運用の目的やポリシーにもよりますが、担当者は適切で気持ちの良いコミュニケーションとは何かを常に考え、試行錯誤しながら、よりよい反応をする必要があります。

関連する情報の収集能力

ソーシャルメディアでは、自社や自ブランドの情報だけを発信していると、ネタ切れになったり、単調になったりすることがあります。

理想的な投稿頻度は1日1回程度と言われていますが、ユーザーがどんな情報を欲しているのかを考え、企業やブランド以外の関連する情報についても発信できるような情報収集能力や理解力が必要だと言えます。

関連する分野についてのエキスパートになるということでもあります。発信する情報のネタ集めは、担当者一人だけではなく、その他の部署の人からも情報を提供してもらうなど協力しながら、発信していくとよいでしょう。

関連部署へのエスカレーション

ユーザーとのコミュニケーションを介して得られたフィードバックは、適切な部署に伝えられるような体制を整えましょう。

特にサービスの改善や質問などは、業務に活かせるようにします。オンラインコミュニケーションだけでなく、企業内の他の部署とのコミュニケーションや調整能力も求められることになります。

効果をはかること

ページへの「いいね!」の数だけでなく、どのくらいの人とエンゲージできているのか、どういう投稿が受け入れられやすいのか、シェアされるのか、あるいは一日のうち何時が一番情報が届きやすいのか、時間による投稿の反応の違いなど、様々な視点から投稿を評価できる能力が必要です。

Facebookにはインサイトが用意されており、詳細なデータが収集できます。さらにそれ以外にも有料ツールを使えば、インサイトでは分析しきれないような高度な解析も行えます。

Facebookでは、5-10分以内に反映されるリアルタイムインサイトを提供することを発表しています。これはページ全体の分析というよりも、「次に何をするべきか」を考えるためのデータというように説明されており、ユーザーとのコミュニケーションをさらに円滑にするための参考になりそうです。

大事な投稿の反応が悪ければ、ハイライト表示にして目立たせたり、トップに固定したりすることで、気づいてもらいやすくすることなど、いろいろ工夫できるでしょう。

まとめ:伝えられる力を最大化する

fMC Tokyo 2012で印象に残ったこととして、「Facebookは配信に注力するので、運用者はコンテンツに集中してほしい」という発言がありました。

ユーザーとのコミュニケーションを生むようなコンテンツであれば、Facebook内のアルゴリズムが適切に判定して、表示を最適化するということです。

ネット上で「数年前に自分がブログに書いていたこと、あるいは考えていたことが、今バズワードになっている」というようなボヤキをみかけることがあります。私もぼやきたくなることは多々ありますが、誰にも伝わらない、印象に残らないということは、伝えていないのと同じです。

どう表現すれば伝わるのか、日々研究を重ね、自分、あるいは企業、ブランドとオンライン上でコミュニケーションをしてくれる人を増やし、日々の交流を続けていくことで、伝える力を最大化することができるのではないでしょうか。

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