NASAに学ぶコンテンツマーケティング:事例と3つのポイント

以前より、NASAはソーシャルメディアを活用した情報発信を積極的に行っています。先日、Facebook用のアプリ「Space Race Blast Off」をリリースしました。クイズに回答してバッジを獲得していくゲームです。

このゲームをきっかけに改めてNASAのソーシャルメディアの取り組みについて調べてみると、いろいろなチャンネルで、それぞれに適したコンテンツを配信し続けていることがわかりました。

NASAのソーシャルメディアの活用を管理し、Twitter公式アカウントの運用などを行っているのが、Stephanie Schierholzさんです。彼女のメッセージも公式サイトには公開されています。

今回は、NASAが行っているソーシャルメディア上の特に注目するべき活動を整理し、コンテンツマーケティングの観点から一般の企業もマネできる3つのポイントを考えてみましょう。

どんなことをやっているのか

NASAのソーシャルメディアは、Connect With NASA on Social Networking Sitesにまとめられています。TwitterやFacebookなどで複数のアカウントを運用していることがわかります(ただし、Facebookでは本来Facebookページとして作るべきところを、個人アカウントで作っているものも見受けられます)。

Twitter

現在は、公式に運用されているアカウントは、130以上あります。プロジェクトや部署、テーマによってアカウントの使い分けをしているからです。また、20人以上の宇宙飛行士がツイートしており、最も人気のある@Astro_Mikeのフォロワー数は1,264,503人です。

2009年には宇宙から初めてのツイートしたり、2010年に初めてのライブツイートをするなど、話題も満載です。

Twitpicには、宇宙飛行士が撮影したオーロラの写真や、地球の写真などがアップされ、多くの人に閲覧されています。宇宙から見た地球が日常のツイートの中に流れてきて、誰でも見られるというのは、宇宙を身近に感じさせます。

Tweetupというイベント

@NASAのフォロワーをNASAの施設に呼んで、NASAの科学者やエンジニア、宇宙飛行士と直接対話を行うイベントであるTweetupを2009年から行っています。全米、さらには外国からも参加者がやってきます。参加条件は、Twitterアカウントを持っており、NASAのアカウントをフォローしていることのみです。

毎回NASAに勤める魅力的なスピーカーを呼び、いろいろなセッションを用意し、対話もできるようにしています。すでに15回以上開催されており、直近のスケジュールでは、2012年2月14日、3月2日にも開催される予定です。

Tweetups専用Twitterアカウント(@NASATweetup)やハッシュタグ( #NASATweetup)を用意しています。

Facebook

最も規模の大きいページがNASAで、「いいね!」は72万8千を超えています。その他、代表のページ(Lori Garver)やセンター、ミッションやプログラムごとに、全部で50のページがあります。

NASAのFacebookページでは、動画や写真などもある他、ウォールではタイムリーな話題を提供しています。

また、個人で利用できるFacebookアプリ「Space Race Blast Off 」も提供しています。このアプリはクイズを通してバッジが獲得できるゲームです。

3人のプレイヤーがクイズに参加し、1位のユーザーのみボーナスステージにいくことができます。ボーナスステージで出題されるクイズに正解するとバッジがもらえます。また、クイズに参加するともらえるポイントを貯めてバッジを獲得することもできます。

位置情報サービス:FoursquareとGowalla

位置情報サービスのGowallaを使って、2010年に「Search for the Moon Rocks」というキャンペーンを行いました。これはNASAが全米中の博物館に提供した「月の石」の展示のプロモーションでもあります。

ユーザーは月の石が展示されている場所か、NASAと関連する施設(博物館やプラネタリウムなど)にGowallaでチェックインして3つの仮想アイテムを集めると、デジタルGowallaパスポートに特別なピンがもらえるという仕組みです。ユーザーが場所を見つけやすくするために特別な地図も用意しています。

同じく位置情報サービスのFoursquareも使っています。実在する宇宙飛行士が国際宇宙ステーションで「チェックイン」し、「NASA Explorer Badge」のロックを解除しました(動画あり)。

現在は、NASAのFoursquareアカウントをフォローしたり、NASAの関連施設でチェックインすると同様のバッジを手に入れることができます。

動画や画像なども積極的に活用

写真や動画のシェアも積極的です。NASAはYouTubeに18アカウント、Flickerに12アカウント、さらに5つのUstreamチャンネルを用意しています。

この記事の執筆中も、Ustreamでは宇宙飛行士が宇宙からのライブ中継を行っていました。

Pinterestはまだ始めていません。

スマートフォン向けアプリ

スマートフォン向けのアプリも多く提供しています。

シャトルの操縦シミュレーションや太陽の現在の様子や惑星探査機の活動情報を見たりできるアプリが用意されています。

Nasa Chats

NASAと直接チャットができるようなイベントを用意しています。2010年12月に初めてチャットを行ったところ、3200以上の質問を受け、そのうち約2400に回答し、合計で3174人が参加しました。それ以降、毎月複数回様々なトピックでのライブチャットを行っています。

Google+でも大人気

Google+でもNASAは人気で8万人以上からサークルに追加あるいは+1されています。

ただし、投稿のネタの多くがFacebookページと同じようですが、表現が異なったり、Google+だけの投稿もあります。探索機からの写真や動画を存分に掲載しており、充実しています。基本的にFacebookページと同様に、ユーザーからのコメントへの返信はしていません。

宇宙飛行士にメッセージを送れる

NASAのWebサイト内には、バーチャルなポストカードを宇宙飛行士に送れるサービスがあります。ポストカードを選んで、メッセージを記入して送ることができます。

マネできそうな3つのポイント

この圧倒的な情報配信とコミュニケーションの熱意は大いに参考になります。

NASAだからできることももちろんありますが、私たちにも参考にできそうなポイントがあります。

宇宙飛行士(=従業員)の声でコミュニケーション

NASAでは、ソーシャルメディアを使って、宇宙飛行士や職員たちが自分のアカウントで、自分の考えを述べることを推奨しています。

これは、従業員にスポットをあてて、従業員の魅力を引き出すことが、結果として会社の売りにもなるエンプロイブランディングにもつながります。この考え方は、以下の記事で紹介しています。

社員の個性が会社の価値を高める

また、フォロワーやファンとのコミュニケーション(オンライン/オフライン)を通して、ファンの声を聞いたり、次のアクションの参考にすることができます。

質問に答えたり、お礼を言ったりするような、直接のコミュニケーションを繰り返すことで、フォロワーは相手を身近に感じさらに好きになり、結果としてファン、アドボケーターに変わっていきます。

チャンネルごとに適したコンテンツを用意すること

ソーシャルメディアの特性を活かして、人々が読んだり、試したり、話題にしたくなるようなコンテンツを用意しています。

動画やリアルタイムのチャット、オフラインイベントなどは手間がかかりますが、見てくれる人、参加してくれる人の満足度は高くなり、宇宙への興味や好奇心をさらにかきたてるでしょう。それが、イベントが1回で終わらずに、繰り返される理由です。

なお、NASAではたくさんのアカウントを運用していますが、どのアカウントからも活発に情報発信を行っています。

作っただけで終わらせず、ソーシャルメディア特性を活かして、そのアカウントを使ってどんな情報を発信していくかは日々考えていかなければなりません。

コミュニティのメンバーであることに気づいてもらう

あるモノが好きであっても、自分がファンであることに気づかないことがあります。

同じような興味、趣味を持つ人達が集まるコミュニティを作り、コミュニケーションをとれるようにすることで、ユーザーが自分たちがファンであることに気づき、さらに情熱を持てるようになります。

NASAはFacebookページ、Google+ページでは、毎回ユーザーのコメントに返事をしているわけではありません。それでもたくさんのコメントがつくのは、ユーザー自身が伝えたいと思う気持ちを育んでいるからであるし、コメントを通してユーザー同士が知識を共有していくシーンも多く見受けられます。

FacebookページやGoogle+ページの運用では、最初はユーザーからの反応も少なく、やる気が出ない時もあると思います。しかし、毎日投稿内容を工夫したり、呼びかけをすることで、ユーザーがだんだんコミュニケーションに参加してくれるようになります。これは、現在運用がうまくいっている多くのFacebookページの運用者が実感していることではないでしょうか。

NASAは特別、でも自分たちも特別

さて、NASAのコンテンツマーケティングを見て、「NASAだからできるんだよ」と思いましたか?

それとも、結構行っている一つ一つのことは、自分たちもやっていること/できそうなことだな、と思いましたか?

ぜひ後者のように考えていただければと思います。普通の企業には、宇宙飛行士からのメッセージも惑星の写真も用意できませんが、絶対に外にアピールできる専門性や誇れる従業員などを持っているはずです。そして、こうしたコンテンツは、特別な広告やアプリを使わなくても、日々情報を発信していく中で伝えていけるはずです。

お知らせ
深谷歩事務所では、企業のコンテンツマーケティング支援として、サイト構築(技術支援)、コンテンツ企画、編集/リライト、ライティング、取材、評価検証などを承っております。ご興味のある方は、お問い合わせからご連絡ください。

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