社員の個性が会社の価値を高める

Facebookによってオンライン上で実名で発言することの敷居が下がりました。

実名、顔出しで情報を発信することによって、従来は表に出る機会が少なかった一般社員の魅力が表れるようになってきています。

これにより、「●●社」に仕事を発注するというよりも、「XXさんに仕事を頼みたいから、●●社に問い合わせる」というケースも出てきています。

魅力的な社員が会社の価値を高めていくということが認知されるにつれ、企業として社員のオンライン/オフラインでの情報発信を推奨するような動きが出てきています。こうした従業員のスキルを積極的にアピールする取り組みは、「エンプロイーブランディング」とも呼ばれます。

今回は、社員が自分のスキルをアピールできる場を考え、一方で退職したときのトラブルを防ぐためのポリシーなどについても考えてみましょう。

企業ブログで専門性をアピール

社員のスキルや意見、個性などをアピールするのに最も適しているのがブログです。国内でも企業ブログとして本名で記事を書き、専門的な内容をわかりやすく解説している事例があります。

メディアからブログへ

以前から、大手情報研究所系の社員や有名なプログラマーが本名で雑誌やメディアに記事を寄稿することは多くあります。名のある雑誌やメディアに掲載されるということが、本人、あるいは企業にとって「箔をつける」という意味で価値を生むことがあります。また、かつてはこうした大手のメディアでなければ、多くの読者を獲得することが困難だったということもあるでしょう。

ただし、雑誌やメディアの場合だと、メディアの印象のほうが強く、せっかく社員が本名で寄稿しても印象が薄くなってしまう傾向があります。また、メディアへの寄稿の場合、そのメディアの編集方針などによって、記事の方向性や文字量などが制限されることもあります。

ソーシャルメディアによって、ユーザーが自分が見つけた記事をシェアするようになってから、大手のメディアでなくても、記事の内容が興味をひくものであれば、読者を獲得することが容易になりました。

かつて、企業ブログが流行ったときに、きちんと書いてもアクセスがないため書き手のモチベーションが下がり、結局廃れるというケースがありました。しかし、現在は記事の品質が高く、また定期的に更新されるブログであれば、企業ブログであっても、読者を獲得できるようになりました。しかも、読者はソーシャルメディアを使って反応(ツイート、いいね!、シェア、コメント)を返してくれるので、モチベーションが保ちやすくなったのです。

品質が高い記事は、その記事のライターが注目されます。自己紹介に、情報を載せることでその人は信頼を獲得し、結果として「あの企業の●●さんがすごい」ということをアピールすることができます。

Facebookのフィード購読と近況の文字数制限緩和

Facebookがフィード購読という機能を2011年9月に発表しました。これは、友達関係にならなくても、気になる人の公開アップデートを自分のニュースフィードに流れるようにすることができる機能です。Twitterのフォローに近い機能といえるでしょう。

これによって、基本的に閉じたネットワーク内での情報発信/共有であったFacebookの個人ページが、パブリックなネットワークでの情報発信/共有としても価値を大きくしました。

さらに、2011年12月には、Facebookの近況のアップデートの文字数制限が約6万文字に変更されました。6万文字というのは、旧約聖書の20章分、ヘミングウェイの「老人と海」が半分おさまってしまう量です。さすがに6万文字を入力するのは現実的ではありませんが、Facebookの公式アプリの「ノート」の使い勝手が悪かったことを考えると、Facebookの近況アップデートが、「近況」に留まらず、濃い情報を発信することも可能なツールになったといえるでしょう。

特に、ジャーナリストがフィード購読に注目しています。これまで、多くのジャーナリストがTwitterを使ってレポートを発信する例がありました。しかし、Twitterの140文字という制限では、どうしてもレポートがブツ切れになってしまいますし、連続ツイートの一部だけがRTなどによって一人歩きして誤解を生んでしまうということもしばしばありました。Facebookの現在の近況アップデート機能であれば、こうした問題はすべて解決できます。

もちろん、ジャーナリストでなくても、社員それぞれが情報発信力を高めれば、フィード購読者を獲得することができます。かつては、著名人や専門家でないと自分の声を多くの人に届けることはできませんでしたが、一般人でも使い方によっては多くの人に情報を発信できるようになったのです。

なお、フィード購読のためのプラグインも公開されています。企業ブログに社員ライターの自己紹介を掲載する効果を述べましたが、紹介欄にFacebookのフィード購読ボタンを付けるとよいでしょう。

LinkedInは社員の顔が見える

2011年10月に日本語版がリリースされたLinkedInですが、まだまだ国内の注目は高くはありません。

LinkedIn内には、会社ページというページが用意されていることをご存知でしょうか。

LinkedInを始めよう:サービスの基本を理解する

会社ページにアクセスすると、その企業の従業員が表示されるようになっています。

この時、表示される従業員との関係も表示されます。直接自分とつながりがあれば1次、つながりがある人のつながりであれば2次というように表示されます。従業員のプロフィールをクリックすれば、その人のプロフィールページを閲覧することもできます。

会社ページに従業員の顔が見えるようになっていることは、人材が会社の財産であるからです。特に、LinkedInはプロフェッショナルネットワークとして、転職や人材ハンティング、あるいはパートナー企業探しに利用されるため、その中にいる従業員にスポットが当てられています。従業員が魅力的であれば、パートナーを探している企業がこの会社に発注したい(その場合はこの人を担当につけてほしい)、あるいは求職者がこの会社に就職したいと考えるきかっけになるからです。

Google+で特別感を出す

もう一つ、社員の個性が輝くことになりそうなのが、Google+の個人アカウントとGoogle+ページです。Google+もTwitterと同じように、一方的なフォローができるソーシャルメディアです。

ここでもやはり情報発信力のある社員のアカウントには、相応の数のフォロワーがつきます。

企業などが運用するGoogle+ページについても、使い方によっては社員のファンのエンゲージメントを高めるために活用できそうです。

参考:Google+ページを作ろう!:基本と使い方ガイド

Google+は、情報の発信先をサークルで管理することができます。例えば、ある社員と関係するユーザーからのフォローであるならば、専用のサークルを作ります。Google+ページの管理人は、50人まで追加できるので、フォロワーの多い社員は管理人になってもらいます。そして、その社員が情報を発信するときに、自分と関係のあるユーザーにだけ特別な情報を配信するといった運用が考えられます。

また、動画チャットのHangOutも、サークルに限定公開して特別な情報を配信することにも使えるでしょう。

ソーシャルメディアポリシーが必要

さて、従業員の影響力を高めると、会社をより魅力的にすることができます。しかし、問題も起こっています。

あるUSのメディア企業に務めていた男性社員が退職後、在職時に使っていたTwitterアカウントの利用をめぐって、裁判になるという事例がありました。

この事例では、男性社員は、会社の名前と自分の名前を組み合わせたアカウントを使ってツイートしており、約1万7千人のフォロワーがいました。離職時に会社から、時々会社の代わりにツイートしてくれれば使い続けてよいと言われたそうです。男性社員は、フォロワーを維持したまま、アカウントIDの文字列だけ変えて利用していましたが、数ヵ月後に会社側から訴えられたとのことで、男性側もサイトの広告売上の一部や賃金の要求などをしています。

参考:

A Dispute Over Who Owns a Twitter Account Goes to Court
フォロワー連れ退職「会社に損害」 ツイッター巡り提訴

こうした揉め事を起こさないためにも、公式アカウントと個人アカウントをきちんと判別し、社員のソーシャルメディア運用規定、公式アカウントの運用規定などを明確に定義するべきでしょう。

また、社員の企業ブログ執筆の工数、Facebook個人アカウントの近況シェアは、業務の範囲なのかどうかも明確に規定し、会社も社員も納得できるポリシーを策定し、運用する必要があります。

参考:ソーシャルメディアポリシーを考えよう

まとめ:ソーシャルメディアは人が魅力

魅力的な社員に注目が集まる最も大きな理由は、ソーシャルメディアは人と人のコミュニケーションであるからです。魅力的な人の周りには、多くの人達が集まり、有意義な議論に発展する傾向があります。

社員の魅力を引き出し企業の新たな価値としていくには、企業がソーシャルメディアの特性を理解し、社員が伸び伸びと活用できるような土壌をまずは用意する必要があるでしょう。

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