ソーシャルメディアと顧客中心主義

今、世界は情報の流れや価値観が大きく変わるタイミングにあります。これから企業は、こうした変化に柔軟に対応し、企業中心ではなく、顧客を中心にサービスや製品を設計することが求められるようになります。

今回は、今起こっている変化を整理し、それに対してどういう対応が必要なのかを考えます。

個人の声とみんなの声が影響しあう

2009年に日本でTwitterがブームになってから、誰もが情報を簡単に発信できるようになったことが認知されました。この動きはさらにFacebookやGoogle+の登場によって加速しています。

現在では、誰もが情報を発信できることは当たり前で、さらに個人の発信内容がまた別の誰かの考えや判断に大きく影響を与えるようになりました。

情報発信というと大げさですが、Facebookの「いいね!」、mixiの「イイネ!」、Twitterのツイートなどを通した情報の共有も発信です。そして、これらの数がソーシャルプルーフとして、発言の影響力も可視化できるようになりました。

なお、特定の分野において影響力のある個人(インフルエンサー)がシェアをしたり、おすすめした情報は、数千人、数万人単位で広がっていきます。Facebookの場合、リンクのシェアが簡単にできるようになったために、影響力の強い人が共有したリンクは、それを見た人によってシェアされ、さらに広がっていきます。

影響力のある個人と企業がどう関わっていくかということは今後一つのテーマになります。ただし、ステルスマーケティング(広告とわからないような形での広告)は、ユーザーからの反感を買いやすく、また意図的な情報操作が行われていたことが発覚した場合、企業も協力した個人も信用を大きく失墜させることになります。

2012年初め、「食べログ」がステルスマーケティングを行っていた業者を特定したことが話題になりました。以前からクチコミ投稿をする業者を利用する飲食店があることはユーザーの間で噂されていましたが、「食べログ」が正式に発表し排除のための対策をすることで、サイトの信頼性を維持しようとしています。

オープンな場で聞くこと、話すことがマーケティングに

ソーシャルメディアによって、企業はみんなが見ている公の場でユーザーと直接対話をすることが求められるようになりました。従来の広告やプレスリリースなどと異なるのは、発表したら終わりではないことです。

ソーシャルメディア上のコミュニケーションでは、ユーザーが何を話しているのかを聞く必要がありますし、その話題について反応することも求められます。これから、ソーシャルメディア上の声を拾い分析するサービスのニーズも高まるでしょう。ソーシャルメディア上で話されている内容を知ることは、マーケティング手法においてのひとつの大きな柱となります。

反対にソーシャルメディアはやらないという企業の判断は、ユーザーを無視していると受け取られかねません。実際、気になる企業を調べていて、ソーシャルメディアでの情報発信をしていない企業は、企業体質が古いのでは、とユーザーをがっかりさせることがあります。これは、Webサイトが充実している企業は特に注意が必要です。

なお、ソーシャルメディアのコミュニケーションにおいては、迅速な対応や運用担当者の判断に基づく投稿やコメント対応も求められます。これまでの広告やプレスリリースは、入念にメッセージを準備し、社内での承認を得るというステップが必要でしたが、ソーシャルメディアの日常の運用において、こうした社内調整を行って対応することは現実的ではありません。よって、運用方針についてのポリシー策定が必要です。

特に問題が起こった場合、問題の大小に関わらず、きちんと問題の内容と発生した経緯、今後の対応などについて、正直に説明することが重要であると、過去の炎上事件などからも明らかです。

また日々のコメントでの対応におけるオンラインコミュニケーションのセンスも問われます。企業でソーシャルメディアを運用するときの担当者を選ぶ際には、実際にソーシャルメディアを利用しているか、オンラインでのコミュニケーションが好きかということも合わせて考えるべきです。

ソーシャルメディアの運用の成否は、運用担当者である「中の人」がどれくらい情熱をかけられるかにかかっています。すでに日々の運用やコメント返しが面倒に感じるという人は、向いていません。運用の目的を理解した上で、ユーザーとのやり取りを楽しんでできるような人材が別にいないか探したほうがよいでしょう。

まとめ:品質とコミュニケーションを土台にした顧客支援ができるか?

品質を高めればよいという時代は終わりました。これからは、ユーザーに満足してもらえる品質を提供することに加え、ユーザーと同じ立場でコミュニケーションを取れること、その上でユーザーに喜んでもらえるための仕組み、ユーザーを支援することができる仕組みを作らなければなりません。

そのためには、ユーザーの声を聞き、コミュニケーションを通してニーズを理解することが必要で、ソーシャルメディアの活用が必須になっていると言えます。

「世界で一番軽い」という作り手側のメッセージを送るのではなく、ユーザーの立場に立った時に、その製品がユーザーにどんな価値を生むのかを伝え、共感を生んでいかなけれななりません。

こうした変化を理解し、的確に反応できる企業のみが今後生き残っていくでしょう。

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