「いいね!」する理由、取り消す理由:新指標はどう影響するか?

Facebookページの運用においては、Facebookページへの「いいね!」の数が重要な評価指標です。

しかし、2011年10月に「いいね!」に加え、「話題にしている人」「トータルリーチ」「エンゲージしたユーザー」といった新しい指標がFacebookページのインサイトに追加されました。評価指標が増えたことにより、より詳細な分析が可能となりました。では、以前からある「いいね!」という評価指標はその重要性が低くなったのでしょうか。

もちろん、そんなことはありません。「いいね!」の数は、Facebookページに興味を持ってくれている人の数です。「話題にしている人」「トータルリーチ」を増やすためのキーになる人達だと言えます。

そこで今回はまず、ユーザーがFacebookページに対して「いいね!」をする理由、「いいね!」をしたのにそのFacebookページに興味を持たなくなる理由などについて、ExactTargetによる以下の二つの調査データを紹介します。このデータは、USの15歳以上の生活者約1,500人を対象に2010年から2011年にかけて、オンライン調査やフォーカスグループによるインタビューなどを通して調査したものです。データを元に改めて、「いいね!」をする動機、取り消す要因を考えてみましょう。

The Meaning of Like

The Social Breakup
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さらに、2011年10月からプレビュー版が提供されているインサイトの評価項目について検証し、今後Facebookページへの「いいね!」が持つ意味がどう変わっていくのかを考えます。

Facebookページに「いいね!」をする理由

Facebookページに対して「いいね!」をクリックすると、ユーザーはそのページと「つながり」ができます。Facebookページのウォール投稿の情報がニュースフィードに表示されるようになり、プロフィールの「いいね!」をしているページ、あるいはプロフィール内の適したカテゴリ(好きなテレビ、アーティストなど)にページ名が表示されるようになるのです。

ユーザーは、何を期待してFacebookページに対して「いいね!」をクリックするのでしょうか。「The Meaning of Like」の調査結果は以下の通りです。

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「特別コンテンツ、イベント、セールの情報を得ること」「割引や特典を受けること」が最も多く58%でした。

「いいね!」一つの価値はいくら、といった指数をみかけることがありますが、実際にユーザーが「いいね!」をする理由を見てみると、一概には評価できないことがわかります。

自己顕示欲と割引と個人に特化した情報・・・

なお、この結果を年代別に見ると、以下の傾向があることがわかります。

まず、18−26歳のユーザーは、「いいね!」と引換になにか特典を得ることはあまり期待していません。むしろ、ページに「いいね!」をすることは公に対し自分を表現することであり、ブランドへの支援(アドボカシー)であると考えるユーザーが多いのです。

特定のブランドが好きな自分をアピールしたい、という心理については、「ソーシャルメディアとブランディング」という記事でも紹介しました。ブランドという外的要因を使って、自分のイメージを補正しようという心理です。

27−34歳のユーザーは、「いいね!」をすることによって特典を受けたり、特別な情報を得ることを期待する傾向が強く現れています。

35−51歳のユーザーは、「いいね!」をすることで、自分にぴったりで価値のある情報やディスカウントを受けたいと考える割合が多く、期待にそわないと思ったら、「いいね!」の取り消しを躊躇なく行う傾向があります。

「いいね!」を取り消す理由

続いて、「いいね!」を取り消す理由について「The Social Breakup」のデータをみてみましょう。

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最も多い理由が「投稿が多すぎる」44%、「整理が必要だった」43%となっています。1日の適正なウォール投稿数などが議論されることも多いですが、やはり多すぎる投稿というのは、ユーザーから嫌われやすいと言えます。

特に、ニュースフィード上に「最新の記事」「ハイライト」が1ページで表示されるようになったため、一定期間の連続投稿は排除される傾向にあると考えられます。なぜなら、ログインしている間に同じページからの投稿が並んだら、過剰に感じるためです。

ある企業では、自社開催のイベントレポートをTwitterと連携する形でリアルタイムで配信していました。TwitterのスピードはFacebookというプラットフォームには合わないため、ユーザーから見ると「過剰投稿」とみなされる典型的な事例です。

「いいね!」の取り消しがないからといって安心できない

ここで注意したいのが、ユーザーはFacebookページに対しての「いいね!」を取り消さないからといって、必ずしも投稿を見続けてくれているわけではないということです。

そもそも、「いいね!」の取り消し方を知らないユーザーも多く、2011年9月以前の仕様では、該当のFacebookページにアクセスし、プロフィール写真のある左ペインの一番下の段にある操作メニューから「いいね!を取り消す」をクリックする方法が、一般的に行われていたフローでした。しかし、「いいね!を取り消す」の文字が小さく、位置もわかりにくいので気づかない人も多かったと推測されます。

「The Social Breakup」の調査データでは、一度「いいね!」をしたFacebookページの投稿を不要と感じたユーザーは55%です。そのうち、公式に「いいね!」の取り消しをしたのは43%でした。

では、それ以外のFacebookページに興味を失っても、「いいね!」を取り消さなかったユーザーはどうするのでしょうか。それが以下のデータです。

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Facebookインサイトでは、購読の停止件数はわかりますが、ニュースフィードで投稿を削除したり、無視された件数はわかりません。よって、ウォールに投稿しても反応が薄い場合、ユーザーから無視されたり削除されたりしている可能性があることを覚えておくべきです。

仕様変更でフィード購読の停止、「いいね!」取り消しが簡単に

上記の調査データは、2011年9月の仕様変更前のものです。

2011年9月からは、ウォール表示の仕様変更によって、「ハイライト」と「最新情報」が1ページ内で表示されるようになりました。また、気になるユーザーの「フィード購読」機能(友達関係にならなくても、相手が「公開」で投稿した情報をニュースフィードに表示する機能)も追加されました。これにより、ユーザーのニュースフィードは、以前よりも雑多なものになり、また更新スピードも早くなる傾向があります。

こうした仕様変更にあわせて、友達やFacebookページの更新情報をニュースフィードに表示する頻度や、あるいはフィード購読を停止する設定も簡単になり、ユーザー個人でニュースフィードに流れる情報をカスタマイズできるようになりました。

例えば、「いいね!」をクリックしたFacebookページの投稿が気に入らないもので、削除したくなったとします。その場合、ニュースフィードに表示される該当の投稿の右上にある「▽」ボタンをクリックすると、投稿の削除ができ、以下のような結果になります。

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図からもわかるように、ひとつでも変な投稿をしてユーザーを不快にしてしまい投稿を削除されてしまったら、その先にすぐ「永久に投稿を非表示にする」オプションと「いいね!を取り消す」オプションが用意されているのです。

つまり、ユーザー離れを起こさないためには、投稿ひとつひとつに対し、ユーザーにとってより価値の高いものを配信していく必要があります。

新しい評価指標で何がわかるのか

調査データをみると、ユーザーが「いいね!」をする理由は多様であり、ユーザーの期待にすべて答えるのは難しいことがわかります。さらに、仕様変更によって、今後はユーザーが「いいね!」を取消したり、購読をやめることが増えていくことが予想されます。

こうした背景もあってか、Facebookは「いいね!」だけでは測れなかったエンゲージメントの評価として「話題にしている人」「エンゲージしているユーザ」「ファンの友達」「リーチ」「バイラル度」という新しい指標を公開するようになりました。(10月13日現在、日本語版インサイトは未公開、英語版もプレビュー版となっている)

簡単に指標を説明すると以下のようになります。

・話題にしている人(Talking about this)

ページの投稿に対して以下のようななんらかのアクションを起こした人。
いいね!/コメント/シェア/クエスチョンに回答/イベントの出席回答

・リーチ(Reach)

投稿を見たユニークユーザー数

・エンゲージしたユーザー(Engaged User)

投稿に対してエンゲージしたユニークユーザー数。エンゲージとは投稿のクリックのこと。

・バイラル度(Virality)

投稿を見た人のうち、実際に話題にした人の割合。

以下はSocial Media ExperienceのFacebookページの新しいインサイトの画面です。

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ちなみに、Facebookページのトップの「いいね!」の数の下に表示される、「X人が話題にしています」には、直近7日間のトータルの話題にした人が表示されます。これにより、そのページがどのくらい盛り上がっているかどうかが判断できます。

「いいね!」しなくてもコメントできるようになった!

なお、新しい指標を見ていて気づいた大きな仕様の変更があります。

これまでは、Facebookページに投稿に対して、コメントをしたり、「いいね!」をすることができるのは、そのページに対して「いいね!」をしているユーザーだけでした。

しかし、2011年10月13日現在では、「いいね!」をクリックしていないページであっても、投稿への「いいね!」、コメント、シェアが可能になっています。

これにより、「いいね!」をクリックしたユーザーとしていないユーザーの違いとしては、ニュースフィードに更新情報が配信されること、プロフィールに表示されることのみになりました。

新指標と新仕様がページ運営に与える影響

これまでは、「いいね!」をしているコアなユーザーとのコミュニケーションをする、彼らが喜ぶような話題を提供するということが、Facebookページを盛り上げるコツでした。

今後、「いいね!」をクリックしているかどうかに関わらず「話題にしている人」がFacebookページ運営の成功を評価する重要な指標になる可能性があり、これまでとは違った戦略が必要となるかもしれません。Facebookページに「いいね!」をクリックするユーザー数を増加する戦略に加え、既存「いいね!」ユーザーを維持する戦略、どちらでもないユーザーに「いいね!」やシェアされるよう訴求する戦略を、Facebookページ運用者は考えていくべきでしょう。

とは言っても、「いいね!」ユーザーのニュースフィードにアップデートをプッシュできることを考えると、「いいね!」ユーザーに対する訴求が最も簡単であることに変わりはありません。彼らのエンゲージメントや満足度を高めることが、他のユーザーの関心をひくきっかけになるのも以前と変わりないと言えます。

多くのFacebookページ運営者は、フェーズによって、どのユーザーに訴求するかを既にロードマップ化していることと思います。もしそうでないなら、まずは既存「いいね!」ユーザーの維持を最重要項目とするべきであると考えます。なぜならば、上述したとおり、以前よりも「いいね!」を取り消すのが容易になったためです。最も簡単に訴求できる「いいね!」ユーザーを逃してしまうことは、バイラルになる可能性を減少させることにつながり、そのデメリットは計り知れません。

まとめ:「いいね!」の意味、運用を考え直すきっかけに

新しくなったインサイトに追加された指標や、Facebookの仕様変更が今後のFacebookページ運用に及ぼす影響について考えてみました。

新しい仕様によって、これまでよりも「いいね!」を獲得したり、その関係を維持する難易度が上がったといえます。

しかし、Facebookページが可能にするユーザーとのコミュニケーションや情報の発信、ユーザー満足度の向上といった基本的な部分に変わりはありません。ユーザーが「いいね!」をしたときの期待、「いいね!」を外すときの要因が、今後の運用を改善する上で意識するべき重要なポイントなのです。

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