インフォグラフィック:人気の理由と注意点

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ここ数年、インターネット上にさまざまなインフォグラフィックが公開されるようになり、目にする機会も多くなった。しばしば、インフォグラフィックを紹介する記事やまとめた記事なども人気になっているので、目にすることも多いだろう。

ただ、Web上でインフォグラフィックとして公開されているものは、日本語によるものはまだ数が少なく、ほとんどが英語によるインフォグラフィックである。

そこで、今回はインフォグラフィックとはそもそも何か、いつからWebコンテンツの一つとして重要になってきたのかを考え、その価値について考察する。

また、インフォグラフィックを見るときの注意、制作者に期待することなどについてもまとめた。

インフォグラフィックとは何か

インフォグラフィックをWikipediaで調べてみると、以下のような説明がある。

インフォグラフィックは情報データや知識を視覚的に表したものである。インフォグラフィックは、サインマップやジャーナリズム、テクニカルライティング、教育において、すばやくかつ明確に複雑な情報を表す。

インフォグラフィックの歴史は、原始時代に人々の生活様式や狩猟方法などを描いた洞窟壁画までさかのぼる。20世紀に入ってからは、新聞や書籍、雑誌、広告などでデータや関係を視覚的にわかりやすく見せるために、様々なインフォグラフィックが盛んに取り入れられた。

一般に、人類の脳に送られる情報のうち90%が視覚情報であると言われている。つまり、そもそも人間の脳が、発話された言葉や記述された文字での説明よりも、図解化された情報のほうが理解しやすいようにできており、時代の要請に応じて進化を遂げてきたといえる。

現在、ネット上で見られるインフォグラフィックも、人類が長い歴史の中で培ってきた図や絵を使った情報伝達手法の一種である。

例えば、以下は東京の地下鉄マップであるが、これもインフォグラフィックの一つである。

インフォグラフィックのタイプ

インフォグラフィックのタイプとして、大きく以下のように分類できる。

統計データのインフォグラフィック

割合や数値などの統計データをグラフ化したものである。もっともよく見かけるタイプのインフォグラフィックである。単純に円グラフ、棒グラフを使うだけでなく、様々な手法で数値の増減などが表されている物が多い。

(Where your money goes: the definitive atlas of UK government spending)

時系列データのインフォグラフィック

時間軸による変化などを表したインフォグラフィックである。

(History of the Political Parties)

過程のインフォグラフィック

作業のステップや流れなどを表したインフォグラフィックである。

(Infographic – Quickstart Guide to Social Media for Business)

位置や広さのインフォグラフィック

地図などに代表されるインフォグラフィックである。応用編として概念や関係性を地図のようにあらわしたものなどもある。

(Map of the Internet 2010)

上記を複合的に組み合わせたインフォグラフィック

上記のタイプを複合的に組み合わせて、様々な情報をまとめているものもある。

Web上では2009年後半から人気に

一方、Web上でインフォグラフィックが多くなったのは、ごく最近である。以下はGoogle TrendでInfographicを調べたものである。

2009年の後半から増え始め、今年はさらに急成長しているキーワードであることがわかる。

インフォグラフィックが人気の理由

なぜ、インフォグラフィックが急速に人気になっているのか。いくつか要因があるが、大きく以下の3つの要因があると考えられる。

データ量の爆発的な増加

Web上にはさまざまな種類のデータが日々作成されている。しかし、人々がWeb上のコンテンツに触れられる時間には限界があり、また一つ一つのコンテンツに集中する時間も少ない。(参考)

そうした中で、必要なデータが視覚的にわかりやすくまとまっているインフォグラフィックは、短時間で概要を把握できるために注目を集めやすい。

データのストーリー性

画像としてみせることで、そのデータの持つ意味を視覚的にうったえることができる。例えば、ソーシャルメディアの利用向上とインターネット利用時間の関係、年齢に分けたソーシャルメディアの利用状況の比較などをストーリーとして表すことで、そのデータの意味を訴えられる。

言葉で語るよりも、その関連性を訴えることができる場合があることから、メディアなどによって取り上げられ、話題にもなりやすくなる。

共有による拡大

そして、忘れてはならないのが、ソーシャルメディアによる共有だ。インフォグラフィックは、Twitter、Facebook、ブログ、はてブなど様々なソーシャルメディアで共有される。

一瞬で内容を把握できることから、誰かから共有されたインフォグラフィックをまた別の誰かが共有して拡散していきやすい。またインフォグラフィック内のデータを使ったブログ記事なども作成しやすい。

インフォグラフィックを見るときに注意すること

人気のインフォグラフィックであるが、実は注意したいことがある。

それは、一見わかりやすいばかりに、図の中の重要な情報を見落としたり、データの読み方を誤解して事実とは異なる解釈をしてしまうことだ。特に、英語など日本語以外のインフォグラフィックは慎重に見たほうがよい。

時として、TwitterやFacebookなどで共有されているインフォグラフィックが、誤解されたまま共有され続けていることがある。

先日もあるインフォグラフィックが翻訳をつけて共有されていたが、その翻訳に致命的な誤訳が含まれていた。図表解釈と前置詞の取り違えによる単純なミスであるが、受け取った人は、先入観を持ってそのデータを見てしまうので、誤りに気がつかないままさらに共有してしまっている。元データがテキストであれば、気づく人はもっと多かっただろうと思われる。

もう一つの問題が、そもそものインフォグラフィックの質が低いものが増えているということだ。インフォグラフィックが人気ということは、それだけ作成する人が増えているということであり、クオリティの保証が必ずしもされているとは限らない。

データを解釈し、それをわかりやすく表現するには、高い分析力と表現力が求められる。そのステップを省いて、すでにインフォグラフィックになっているデータを元に別のインフォグラフィックを作成したと思われるような作品まである。こうしたものはデータの解釈がオリジナルデータを踏まえていないため、誤りや誤解を生みやすいような表現になりやすい。

インフォグラフィックを見るときのチェックポイント

インフォグラフィックは一瞬でわかりやすいのが特徴であるが、誰かと共有したい、あるいはそれを元に分析をしたいと思ったら、以下のチェックを行うようにしよう。

一次情報を探す

インフォグラフィックが共有されやすいのは前述したとおりだが、共有の結果として誰かがTumblerなどのWebサービス上に保存したりすることがある。もし、共有されたデータのリンク先が誰かのスクラップであれば、オリジナルがどこで掲載されたのかを調べてみよう。

オリジナルの公開元では、データについての説明や作者名などが一緒に掲載されていることが多いので、こうした情報もチェックするようにしよう。

何のデータを元にしているか

統計データのインフォグラフィックは、何かの統計情報を元に作成されたものが多いので、その根拠となる統計データが明記されていることが多い。多くは、そのインフォグラフィックの一番下にソースとして、URLなどが記載されている。

そのソースとなったデータも合わせて確認するようにしたい。誰を対象にした調査か、いつ行われた調査か、どういう形式の調査か、母数はどのくらいか、といった基本的なことを確認しよう。さらに気になるようであれば、図になっているデータが正しく使われているかどうかも確認してみよう。

そのインフォグラフィックは何を示しているか

そもそも、そのインフォグラフィックが何を示している、どういう目的で作成されているのかを理解しよう。これはそのインフォグラフィックだけでなく、解説などを見ることでわかることがある。

作成者は誰か

インフォグラフィックは誰が作成しているのか。メディアなどで作成している場合もあるし、企業が分析データを発表するのに利用している場合もある。デザイナーが個人的に作成し売っている場合もある。

作成者が誰か、ということは、そのインフォグラフィックの意図を理解する上でも注意すべき点である。

作成するときに注意すること

今後、日本国内でもインフォグラフィックが増えていくと考えられる。制作する方は以下のような点に注意していただきたいと思う。

作成元のソースを表示する

どのデータを元に作成したのか、見た人が確認することができるように必ずソースを書くようにしよう。

オリジナルのデータに従う

当然のことであるが、オリジナルのデータの数値の改ざんはしてはいけない。必ず、元データと同じ数値を使おう。故意ではなく、作成中に別のデータと混ざってしまうということもあるので、ダブルチェックなどを行うようにしてほしい。

データの目的

インフォグラフィックを作成する目的、見てもらいたい相手のことを考えて作成しよう。

まとめ:楽しいインフォグラフィック生活のために

見ているだけで楽しいのがインフォグラフィックであるが、そのデータを元に議論をしたり、分析をする場合、本当にそれが正しいかどうかは確認をしなければいけない。

今後、日本でもインフォグラフィックの制作者が増え、様々な知見を与えてくれることに期待したい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。