移り気な読み手の注意を惹く方法

2011年版の「インターネット白書」が発売された。日本国内におけるソーシャルメディアの活用の実態などについて詳しいデータ分析がされている。

今回は、インターネット白書のデータおよびWeb閲覧の方法についてのデータを用いながら、インターネット利用者の行動の特徴を整理する。それを踏まえて、企業のソーシャルメディア運用に置いて、人の目に止まり読んでもらえるコンテンツを作るためのベストプラクティスについて考えてみたい。

最初にインターネット利用者の行動についてデータを元に考え、続いてTwitterおよびFacebookの最適なコンテンツ設計について検討する。

データから見るインターネット利用者の行動

「インターネット白書2011」およびWebブラウジングの分析データから、インターネット利用者の行動の傾向を整理する。

1週間あたりのインターネット利用時間は5時間以上が半数

まず自宅からのインターネットの利用時間をみてみたい。これによれば、1週間に5時間以上インターネットを利用する層と、しない層がほぼ半数になることがわかる。

さらに1週間に7時間以上インターネットを利用するのは42%である。彼らは平均すれば1日1時間以上、何らかのWebコンテンツを閲覧していることになる。

1日1時間以上インターネットを利用する割合が42%というのは、想定したよりも少ないように感じた。

インターネット利用の目的

利用者は限られた時間の中でどういったサービスに時間を費やしているのか。

その調査結果によれば、「情報収集」が最も多くなっており、ついで「オンラインショッピング」「電子メール」が8割を超える。

SNS(mixiやFacebookなど)の利用率は32%となっており、前年に比べて10%以上の増加傾向にあることに注目したい。

ユーザーはインターネット利用の限られた時間の中で、必要に応じて多様なサービスを利用していることがわかる。

「商品・サービス・買い物に関する情報」というのが最も多くなっているが、実際にどういう媒体を通じて、情報を収集しているのかが知りたいとことである。

この調査は、複数回答のアンケートによるものだが、選択肢の粒度に若干のばらつきがあるのが難点である。

閲覧する場所は自宅からが9割、職場は4割

続いて、インターネットを利用する場所は、9割が自宅を上げており、「職場・学校」は4割になることがわかった。

また、モバイル端末の普及から「移動中」が2割を超えている。

タブの利用による複数ページの同時閲覧

最近、自分も含め、周囲のインターネットユーザーを見ていて気づくのがWebブラウザのタブを使って、複数のサイトを表示する閲覧スタイルである。

この閲覧スタイルについて、Microsoft Research とワシントン大学による共同の調査が発表されている。今回は補足的にこのデータについても取り上げてみたい。

Parallel Browsing Behavior on the Web

5,000万人の600億のページビューのログ解析により以下のことを発表している。

・Web閲覧時に異なるタブを開いて同時閲覧するのは85%

・タブ一つにつき5−10のページビュー
・Web閲覧時間のうち57.4%が複数タブによる同時閲覧

タブを同時に開く閲覧スタイルは増加傾向にあり、Web閲覧時間のうち57%が複数タブの同時閲覧をするという。

つまり、ユーザーは複数の情報を同時に見るマルチタスクでのWeb閲覧をするようになっているということである。

ここから、一つのコンテンツに対する集中度が下がっていることがうかがえる。

短い時間で大量のコンテンツを細切れの集中力で消費する

上記の4つのデータを合わせて考えてみると、利用者は少ない時間で、ぶつ切りに様々なWebコンテンツに触れていることがわかる。そうした中でコンテンツを提供する側は、どうやって読者の注目をひき、読まれるコンテンツを作るか、さらにはそのコンテンツをユーザーが積極的にシェアしてくれる方法を考える必要がある。

以降では、Twitter、Facebookにおいて、どのように読み手の注意をひくかについて考えていく。

Twitter:価値あるツイートで要チェックアカウントになる

Twitterは、表示したときに遭遇したタイムラインがすべてである。これは、2010年9月のデータではあるが、ツイートのRTされる時間について計測を行ったsysmosのデータからはっきりしている。

ツイートのうち、RTされるのが6%、@リプライがあるのが23%である。さらにRTの92%がオリジナルツイートがされてから1時間以内にRTされるというものだ。このことから、一つのツイートが情報として価値を持つ寿命は1時間と言えるだろう。

コミュニケーションツールから発信ツールへ

これまでTwitterの企業利用においては、双方向のコミュニケーションツールとして、いかに効果的に利用するかということが議論されてきた。しかし、最近は上記のデータが示すように、情報の流れが早いことから、コミュニケーションよりも、情報を発信するツールとしてどう価値を出すかに重点が置かれるようになっている。

情報の発信という観点では、自社の宣伝や広告だけでなく、ある特定分野に絞ったさまざまなソースの情報共有をすることで、より多くのユーザーがツイートを見てくれるようになる。

リストの数がより重要に

雑多な情報が流れていく中で、リストを利用するユーザーも増えている。リストは、特定のユーザーをグループ化して、そこに登録したユーザーのツイートだけを表示する機能である。

リストに追加されたアカウントは、通常のツイートよりも「寿命が伸びた」と考えられる。リストもタイムラインと同じように流れがあるが、リスト作成者によってアカウントが抽出されているために、タイムラインよりも流れがゆるくなる傾向にあるからだ。ユーザーが特定のアカウントの発信する情報に価値を認め、さかのぼってても読みたい「要チェックアカウント」になれば、さらに寿命は伸びるだろう。

企業のアカウントなどでは、フォロワー数だけでなく、どのくらいリストに登録されているか、またどういった名前のリストに登録されているかで、情報発信という観点から、自分のツイートの価値を検証できる。

広告のプロモートツイートの効果は?

Twitterが広告のツイートを始めた。表示されるのは、広告主のアカウントをフォローしているユーザーに限られるようだが、他のツイートよりも目立つ形で表示させることで、宣伝効果を上げるということだ。

しかし、配信対象者がすでにフォローしているユーザーのみという条件を考えると、広告として流すよりも、通常の運用でユーザーを楽しませるような話題の提供や有用な情報の発信をしたほうが効果が高いのではないかと考える。

フォローしていないユーザーも含めて、Twitterに公開されているプロフィールなどからターゲッティングしたユーザーに広告を配信できれば、広告の効果は高いだろうが、現在の広告の仕様では対応していない。

Facebook:自然なコミュニケーションが鍵

Twitterに比べ、Facebookはユーザーとコミュニケーションが取りやすいプラットフォームである。ただし、ユーザーは企業とコミュニケーションするためではなく、自分の友達とコミュニケーションするために利用していることは忘れてはならない。友達同士の親密なコミュニケーションの中に、Facebookページも含まれるような形が理想だ。

潜在顧客に訴えるウォール投稿

Facebookページは、興味を持ってくれた人に向けて情報を発信し続けることができるが、エッジランクにより、ユーザーのニュースフィードは最適化されるため、必ず配信した情報がユーザーに届くわけではない。最初に「いいね!」をクリックしても、その後の情報にユーザーが興味を示さなければ、その情報はユーザーのニュースフィードに現れにくくなるからだ。

興味があるユーザー(潜在顧客、見込み顧客)に適切な情報を届け、興味を持続してもらうことができれば、比較的高い確率で顧客に変えることができる。

自分の例で恐縮だが、私は最近、以下のような形でアクセサリーを購入した。

・あるアクセサリーショップのFacebook広告を見てクリック

・アクセサリーのコンセプト(特殊なビーズを組み合わせてカスタマイズ)に興味を持ち、ページの「いいね!」をクリック
・ニュースフィードにそのアクセサリーのカスタマイズ例の写真が届くようになる
・きれいなので「いいね!」をクリックする
・写真だけでなく、一緒につけられたコメント(ビーズの説明やカスタマイズのポイントがプロの視点から紹介されている)も見るようになる
・数回繰り返すうちに「いいな」が「欲しいな」に変わる(ここで初めて値段などを見るようになる)
・実際に購入し、大変満足する(ページの「いいね!」から数ヵ月後)
・今もニュースフィードに現れる写真を楽しみにしている。今後少しずつ増やしていこうと考える ← 今ココ

最初のきっかけは広告であったが、その後のコーディネートの写真の投稿を通してのショップとの交流は、普通の友達とのコミュニケーションに限りなく近い。

興味を持続させるためのウォール投稿を考える

どうすればユーザーの興味を持続できるか、というのがFacebookページ運用者の永遠の課題である。「いいね!」を増やすばかりではなく、一度「いいね!」をクリックした人がずっと興味を持ち続けてくれるようにすることが必要だ。

上手な運用をしているFacebookページを見ていると、以下のような特徴があることがわかる。

定期的に投稿をする

Facebookページのウォールの投稿を継続することである。1日に10個投稿して、その後10日間何も投稿しないよりも、1日に1個ずつ投稿するというように、継続することが大事である。

最終の投稿が1ヶ月前などになると、ユーザーは「終わったページ」としてみなし、離れていく。

先の例で言えば、アクセサリーの写真投稿頻度がもっと低かったら、私はそのページのことを忘れてしまっただろう。

Facebookページにあった情報発信を続ける

Facebookページは、最初にゴールを決め、ターゲットを决める。ここが明確になると、配信するべきコンテンツのテーマが見えてくる。

ターゲットとなる人がどういった情報に価値を見い出すのか、ということは常に考えていかなければいけない。

注意したいのが投稿の「いいね!」の数の魔力である。おいしそうな料理の写真やかわいい女性の写真などは、Facebookページのコンセプトと関係なくても、投稿に「いいね!」がつきやすい傾向にある。これをユーザーが望んでいる情報と勘違いしてしまうと、Facebookページの方向性がずれていく可能性がある。さらに恐ろしいのが、顧客になり得たかもしれないユーザーが「このページは期待していたのと違う情報ばかり配信する」と「いいね!」を取り消して去っていくことである。

たまに関係のない情報を発信する程度ならよいが、投稿への「いいね!」の数を増やすことが目的になってしまい、安易な投稿をするのは、絶対に避けよう。

目を引く投稿を考える

Facebookページを運用する人は、積極的に他のFacebookページのファンになって、実際に自分のニュースフィードに流れてきたときに、どういう投稿が目に留まるかを考えるようにしよう。

多くの人が文字だけの投稿よりも写真がついた投稿のほうに目がいくはずだ。

適切な写真が複数ある場合は、アルバムに3つ投稿してそれをウォールに投稿するのも効果的だ。Victoria’s Secret、ユニクロ、無印良品など、アパレル系がよく行っている。

もっともインプレッションが高くなる時間を検証する

Facebookページのウォールのインプレッション(表示回数)は、投稿する曜日、時間などによって変動がある。投稿へのフィードバックが多くなればそれだけインプレッションも高くなるが、それ以外の要件も影響しているようだ。

例えば、自分が管理しているFacebookページの運用などをみていると、以下のような傾向がある。

・水曜日のインプレッションは低め

・午前よりも午後の投稿のほうがインプレッションが高くなる
・土日のインプレッションは低め

ただし、自分が管理しているFacebookページのほとんどがB2Bのページであり、B2Cの場合は異なる傾向がある可能性がある。Facebookページの運用を始めたら、時間や曜日によるインプレッション数やフィードバック数の違いなどを検証しながら、最適な時間を見つけるとよいだろう。

まとめ:目に留まることがますます困難になる時代

最初に紹介したインターネットの利用動向に見るように、ユーザーは非常に短い時間かつ細切れの集中力で、多様なコンテンツに触れている。ユーザーが一つ一つのコンテンツが見られる時間というのは、長くて数分、短ければ2,3秒である。

こうした中で読者の注意をひくこと、読んでもらうことというのは、次第に難しくなっている。Google +など新しいサービスも増えてきており、ますますユーザーは複数の似たようなサービスを並行利用するようになっている。最近は、以前よりもFacebookページにしろ、個人の投稿にしろ「いいね!」がつきにくくなっているという話も聞くことがある。

今回の記事の中では、ユーザーの興味をひく方法として、TwitterとFacebookの運用方法について考えた。それぞれのプラットフォームに適した形でユーザーに価値のある情報を共有できるかということに尽きるだろう。

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