ソーシャルメディアのキャンペーン:事例と成功の秘訣

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「FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアのビジネス活用についての事例が知りたい」という声をよく耳にする。

事例人気の理由の一つが、企業の多くがソーシャルメディアの使い方に迷っているということだろう。マーケッターや広報担当者は、Webや書籍などでソーシャルメディアについてよく調べている方が多い。よって、ソーシャルメディアの基本的な知識や、活用の心得、エンゲージメントの必要性はすでに十分ご存知の方が増えている。こうした方々の次のステップとして、活用のヒントになる成功事例が求められている。

さらに言えば、期間限定のキャンペーンやコンテスト、くじ、イベントなど特別なコンテンツについての事例の需要が特に高いようだ。

しかし、大企業や、すでに認知度の高い企業の成功事例を紹介しても「もう知っている」「規模が違うので参考にならない」と言う反応が多い。

そこで、今回は、比較的新しいメディアがどのようにソーシャルメディアを使ったキャンペーンを実施しているのかを紹介しつつ、企業がキャンペーンを実施する場合に、おさえておかなければいけない点をまとめた。

おもちゃの情報サイト「Time to Play」の事例

Time to Playは、おもちゃの情報サイトだ。自らを「子どもの玩具、ゲーム、本、テレビゲーム、映画の独立系レビューサイト」と紹介するように、子どものための様々なアイテムについて、レビュー、動画(録画/ライブ)、記事、ユーザー投稿などを使って紹介している。多彩なコンテンツで、頻繁に更新されており、いつサイトを訪れても見どころが満載だ。サイトを運営するおもちゃのプロの顔が見えるところもよい。

さて今回、このサイトを事例として取り上げた理由は、とてもたくさんの方法で、読者向けプレゼントをしているからである。その方法は、Webサイト内にまとめられており、以下のような形でのプレゼントが常時行われている。

毎日プレゼント

サイトにサインイン、または新規登録することで、毎日プレゼントに応募できる。この日はKmartの20ドルギフトカード。

期間限定プレゼント

夏用のおもちゃ(FyrFlyz)の動画に隠されているヒントを頼りに、クイズに答える。正解者のうち抽選でFyrFlyzが当たる。

月曜素敵な日

月曜日だけのプレゼントで、月曜3時のツイートにチャンス到来!画面をキャプチャしたときの条件とプレゼントは以下のとおり。

・プレゼントはKmartの20ドルギフトカード
・プレゼント当選者の条件は次のツイート。「FyrFlyzプレゼント企画はもうチェックしたかな?このメッセージの97番目のRTの人が当選!」

当選者の発表は「当選者は○○さん、受け取る場合は私たちのところにダイレクトメッセージで名前と送付先をお知らせください。すてきなお買い物を!」というツイートで行われており、当選者を公開している。

97RTは強気の数字だが、実は、このツイートのステータスを見てみると、「○○と50人がリツイート」となっているので、97RTまで伸びなかったようだ。しかし、それは大きな問題ではない。ソーシャルメディアを使ったキャンペーンは、参加者の数が可視化されやすいので、盛り上がっているかどうかがすぐわかる。思ったよりも応募が少なくても公開し、その中から参加者を選べばいいのだ。

火曜日はTシャツの日!

火曜日のプレゼントはTシャツ。以下のようなツイートで開始。

「バーチャルスタジアムにトスをなげるよ!チャンスをつかむには@TimeToPlayをフォロー。」

この一連のキャンペーンにまつわるTwitterの流れが下記の通り。

「@○○さん、先週Tシャツをもらった人でも今日もチャンスあるよ!」
「Tシャツ火曜日の時間です!このツイートに返信した人、先着10名にプレゼント。48歳以下にかぎります。」
「みんな、早過ぎるぞ!手にいれたのは。。。少し待って!」
「勝者は○○さん、○○さん、・・・・○○さん。送付先と希望するサイズをSからXLの間で教えてください!おめでとう!」

説明文に出てくるバーチャルスタジアム、トスという単語に「なんだろう?」と思ったが、まさにこの流れは、トスとアタック!Tシャツのサイズがそろっているのも好感がもてる。あと、最初のツイートも注目だ。先週あたった人から、先週あたったからだめだろうな、的なことを言われてのを受けてのことだろう。ビジネスのキャンペーンではあるが、「人間同士のやり取り」を感じさせる秀逸なツイートだ。

TimeToPlayライブ

水曜日は決まった時間に10個の簡単なクイズを出して最初にあたった人が当選するというキャンペーンを実施している。以下のようなツイートで呼びかけが始まる。

「水曜日の1時はバーチャルゲームショー、ハッシュタグ#TimeToPlayLiveをフォローすればチャンスあり! @TimeToPlayがクイズを出すので、皆は知恵を出してくれ!」

1時からは実際に文字抜けクイズや人当てクイズなど10個のクイズがだされていく。かなり盛り上がっている雰囲気があり、開始前からユーザーとのたくさんのやり取りが発生している。

Time To Playテレビ

金曜日は、オンラインのライブストリーミングを使って、その番組の中でプレゼントのチャンスを発表する。

告知のツイートは以下のようなものである。

「金曜日に生放送でお送りするTime To Playには、新しくて熱いおもちゃを一緒に見よう、景品が当たるチャンスもたくさんあるよ。」

ライブストリーミングを使った番組の中で、その時々のおもちゃやゲームを紹介しつつ、視聴者プレゼントをする番組だ。

戦略分析:簡単さとオープンさ

月曜日は登録あるいはログインだけでキャンペーンに参加できるが、火曜以降はユーザーからのアクションを求める。これが結果として盛り上がるTwitter、閲覧される動画に繋がっている。

アクションといっても、難しいものではなく、ユーザーが参加しやすい方法であるところにも注目したい。主にTwitterを使っているので、参加も当選者の方法も公開されている。

また、プレゼントの内容もそれほどコストがかかるものではないが、もらった人が喜ぶ物であるところも参考にしたい。

そしてもうひとつ重要なことは、それぞれのソーシャルメディアが持つ特性を把握することが大切だ。Time To Playの場合、Twitterの特徴であるリアルタイム性、アクティブ性を存分に利用し観客を大いに煽っている。最初にTwitterありきなのか、企画ありきなのかは分からないが、ツールの特性を正しく認識し、使用できているのは間違いない。

キャンペーンを行う際に気をつけるべきこと

ここで、ソーシャルメディアを使ったキャンペーンを行う際に注意したい点を改めて整理してみよう。

どのチャンネルを使うか

キャンペーンを実施する際にどのチャンネルをどのように使うかに注意したい。

Time To Playの事例では、自社サイト、Twitter、動画を中心に利用しているが、これらのキャンペーンの告知は、Facebookページでも行っている。またFacebookページでは、Facebookページだけでしか入手できないクイズのヒントなどを掲載している。しかし、Facebook上ではキャンペーンは実施していない。

なぜFacebookページでは、直接キャンペーンを開催していないのか、理由はわかるだろうか。

Facebook上のキャンペーンは要注意

実は、Facebookページでは賞品や賞金の発送を伴うようなキャンペーン(コンテンスト、抽選、くじなどを含む)を行う際に規約があり、それに違反するとFacebookページを停止されたり、アカウントを停止されてしまうのだ。

違反すると言われている行為は、プロモーションガイドラインにまとめられているので、必ず目を通しておきたい。

なお、この規約については2011年5月11日に改訂されている。過去のバージョンでは、「Facebookページへの写真の投稿」も明示的に禁止事項に含まれていたが、現バージョンでは記されてはいない。もしFacebookページへの写真の投稿が問題ないとしても、当選通知にFacebook機能(ウォール投稿、メッセージ、チャット)が利用できないため、他の方法で当選者に通知せざるを得ない。よって他サイトあるいはFacebookアプリを利用したキャンペーンの開催が望ましい。

その点、Twitterは厳しい規約がないため、利用しやすい。Time To Playの例では当選者に対し、ダイレクトメッセージで連絡先を知らせるよう伝えている。

ルールを明確にすること

簡単なキャンペーンに見えても、どういうルールで、何人に何が当たるのか、といったことを明確にする必要がある。

ルールは、アイデアやデザインなどを募るコンテストの場合は特に重要になる。応募条件、提出するもの、選定方法、発表方法に加え当選後の権利の扱いなども明確にしたい。

Time To Playでも、以下のようにキャンペーンのルールを明確にしている。

参加手順を明確にすること

ルールの明確化にも通じるが、参加するための手順についてもわかりやすくする必要がある。

特に動画などを投稿する場合、普段動画投稿に慣れていない人にとっては、アップロード方法がわからなくて断念してしまう場合がある。

例えば、話題になっているストライド・ヤバーランドでは、投稿の方法を端末、OS、ブラウザごとに細かく分けて動画で説明している。

賞品、賞金を魅力的にすること

参加者を増やすためには賞品、賞金を魅力的にすることが欠かせない。ストライド・ヤバーランドでは、賞金100万円に加えCM出演という豪華な賞品を用意している。

といっても、通常の企業ではなかなかここまでの賞品は出せないであろう。そこで、もう一度、Time To Playの企画に戻ってみよう。おそらく、広告主である玩具メーカーや玩具販売店などと協力してプレゼントを企画していると考えられ、コストを最小限に抑えつつも、ターゲット読者である子どもの玩具を探している親、あるいは玩具好きの大人にとって魅力的な賞品を用意することに成功している。

アナウンスの手間を惜しまないこと

さらにキャンペーンを実施していることを皆に伝える努力が必要だ。公式サイト、ブログ、Twitter、Facebookページなどを使えるものはすべて使ってキャンペーンを実施していることを伝えよう。

参加しやすくて、おもしろくて、賞品が魅力的なキャンペーンであれば、それを見たユーザーがFacebookやTwitterを通じて他のユーザーに伝えてくれる。ソーシャルメディアを使ったキャンペーンでは、告知のために費用をかけずとも、わかりやすい形でアナウンスすれば、それに気づいた人が広めてくれるのである。

言ってしまえば、そのキャンペーンについてのRTやいいね!がどれだけついているかで、そのキャンペーンの注目度も可視化される。キャンペーンを開始したのに、まったくその情報が共有されないようであれば、企画に魅力がない可能性がある。早期に気づいた場合、挽回の方法がないか検討してみよう。

Time To Playの事例では、期間限定キャンペーンの告知をRTすることを、日替わりキャンペーンの参加条件にしている。参加者が伸びないキャンペーンあるいはさらに参加者を増やしたい場合などには、こうした工夫も検討してみたい。

発表はオープンに

ソーシャルメディアを使ったキャンペーンでは、差し障りのない範囲で当選者を公開することが望ましい。公開することで、はずれてしまった参加者も公平に抽選が行われたことに納得する。また当選者も喜びのコメントなどポジティブな反応を公に返しやすくなる。なお、当選者を公開することなどもあらかじめルールに規定しておくとよいだろう。

ソーシャルメディアを使ったキャンペーンであれば、参加者は必ずIDを持っているので、IDを発表すればよい。むしろ、「当選の発表は発送を持って返させていただく」という従来の方法を使ってしまっては、もったいないだろう。

あるデザインコンテストで、「たくさんのご応募ありがとうございました。優秀者は発表の予定でしたが、諸事情により非公開とさせていただきます。」という発表がされていた。これを見た人は、「応募が1通もこなかったんじゃないの?」「賞品を惜しんで、デザインを盗んで自分たちで作っているんじゃないの?」というネガティブな憶測をする。このネガティブな憶測が出まわってしまった場合のリスクはとても大きい。

万一、応募が少なく該当者がいなかったのなら、期間を延長する、あるいは告知方法を変えるといった対策を打とう。それでも応募者がいなかったのなら、正直にそのように伝えるべきだ。

ゴールや目的を明確にするのは言わずもがな

もちろん、キャンペーンを実施する目的やゴールを最初に明確にしなければならない。戦略的キャンペーンを実現するために以下の項目を考えよう。項目については、リンク先のキャンペーン戦略の考え方を参考にした。

・キャンペーンの目的
最終的な達成目標を短い言葉でまとめる。

・キャンペーンのメリットとリスク
キャンペーンを実施することで期待できるメリット、発生するリスクを考えよう。リスクの回避策はないかも考える。

・キャンペーンの目標
目的からブレークダウンして目標を考えてみよう。

・キャンペーンの計画
キャンペーンの企画、準備、告知、開始、終了、評価などステップに分けて計画をたてよう。

・キャンペーンのタスク
各ステップごとに、どんな作業が必要になるかを整理しよう。

・アクションプラン
タスクごとに、終っていなければいけない時期、方法、担当者、締切りを整理し、アクションプランとして明確化しよう。

・不測の事態の対応
計画通りに進まなかった場合、どのように調整するかを考えておこう。

まとめ:キャンペーンは楽しむことも大事

今回は、事例を紹介し、注意点、計画の必要性について解説した。最後まで読んで難しく感じてしまった方もいるかもしれない。しかし、計画は必要ではあるが、気負い過ぎて四角四面な対応にならないようにしたい。むしろキャンペーンを通したユーザーとの偶発的なコミュニケーションを楽しもう、というくらいの気持ちで取り組むほうがいいだろう。実際にキャンペーンが始まったらユーザーと一緒にどれだけ盛り上げられるかが重要になってくるだろう。

まさに、Time To Play!の心で取り組み、開催者も共に楽しむことが必要だ。

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