ソーシャルメディアと売上の関係をデータから分析する

売上にソーシャルメディアの影響なしは本当か?」では、Forresterが2011年3月に発表したオンライン消費行動についての調査レポートについて考察を行った。

このレポートでは、アメリカ国内のホリデーシーズン(Thanksgivingからクリスマス)におけるオンラインの購買行動について分析している。このレポートの結論から言えば、ソーシャルメディアはオンラインの購買行動に影響しないということになる。

しかし、このデータは調査期間がプレゼント用品の調達が多い時期であるという特殊な条件があることを考慮するべきだ。

なお冒頭の記事の中では、以下の2点を指摘している。

・オンラインの購買行動にあたって、直接Webサイトに到達している割合が高い

・セール品の情報については、購入者のうちソーシャルメディアで情報を共有している人が4人に1人

直接Webサイトに到達している割合が高いということは、オンライン上にブランドの存在感があり認知されているということであると考えられる。また、セール品の購入者がその情報をシェアし、それが別の友だちのオンライン購買行動に影響している(4%)ことを考慮すると、ソーシャルメディアはオンライン購買行動に影響しないということは断定できない。

前回はソーシャルメディアは、コンバージョンレート(アクセスしてきたユーザー数に対する販売実績数の割合)には現れない価値があるという仮説をたてたが、今回は異なる3つのデータを使って、ソーシャルメディアと売上の関係について考察する。

ソーシャルメディアを使いこなしている企業ほど成長率が高い

以下の図は、「エンゲージメントは売上につながるのか」の記事で紹介したものである。簡単に概要を説明すると、ソーシャルメディアの使いこなしているレベルに応じて、企業を4つに分け、その経営成長率を比較したものである。

図からもわかるように、最もソーシャルメディアを活用している企業が一番経営成長率が高く、最も活用していない企業が一番経営成長率が低いという結果になった。

最も活用している企業の代表がStarbucksで、FacebookやTwitterだけでなく、オリジナルのサイトなども活用し、ユーザーとのエンゲージメントを高めている。

事例データ:Starbucksは全米のレストランチェーンの3位に躍進

そしてStarbucksは、Technomicが2011年4月に発表した売上からみた外食チェーンのトップリストの中で、Burger KingとWendy’sを抜いて3位になった。これは、前年が5位からの躍進であり、売上は8.7%増加した。ちなみに1位はMcDonald’sで2位はSubwayである。

AdvertisingAgeでは、好調の要因として以下のようなことを挙げている。

・材料の健康志向が受け入れられた

・朝食サービスの成功
・デザートメニューが好調
・2008年に創業者H・シュルツがCEOに返り咲き、新メニューの開発、不採算の600店舗の閉鎖、インスタントコーヒーの進出など改革の成果

そして注目すべきが広告費だ。Starbucksのテレビ、ラジオ、印刷媒体、アウトドア広告などへの投資額は94.4百万ドルだったのに対し、McDonald’sは887.8百万ドル(約9倍)、 Burger Kingは301百万ドル(約3倍)である。

Mashableの記事によると、Sturbucks米国内ではほとんどテレビCMを使用していなかったそうだ(最近、放映するようになったようだ)。

しかし、YouTubeでは、活発に様々な動画を投稿している。コーヒー豆の仕入先の情報や従業員のインタビュー、音楽についてなど、様々なテーマごとに動画を公開している。制約も多く、コストもかかるテレビCMを使わずに、YouTubeというプラットフォームを使い、動画を介してユーザーとコミュニケーションをとりながらブランド認知度を向上させているということだ。

MorningstarのアナリストはHottovyはAdvertisingAgeの記事で「伝統的な広告よりもブランドを育てることが重要だ。消費者のブランドへの愛着を得られれば、消費者は店舗に通い続ける。Starbucksは、ソーシャルメディアを効果的に使い、ブランドイメージを向上させた」と解説している。

上記の2つのデータから、既存の広告出稿費を削減し、ソーシャルメディアに投資してブランドイメージを向上させることが売上の向上につながった1つの要因であることは間違いないと言える。

ソーシャルメディアの利点についての調査

SocialMediaExaminerでは、毎年ソーシャルメディアにたずさわるマーケッターに対してアンケート調査を行い、レポートとして公開している。

その調査の中に、「ソーシャルメディアマーケティングの利点」について調査した結果がある。

この中で、回答者のうち43%が「売上の改善」をソーシャルメディアの利点としてあげている。この調査では、この数字をさらに分析している。

以下の図は、マーケッターをソーシャルメディアの利用年数で分類し、それぞれの「売上の改善」についての回答の割合をグラフ化したものである。

利用年数が増えれば増えるほど「売上の改善」につながると回答した割合が増えていて、3年以上の利用者は72%が「同意」と回答していることがわかる。3年の利用経験があった上で「売上の改善」につながることに同意と回答している彼らは「売上改善」の実績があると推測できる。

ソーシャルメディアがブランドの認知に与える影響

ブランドの認知にソーシャルメディアがどれだけ影響したかは、今回取り上げたデータからはわからないものの、日々のソーシャルメディアを通した活動がユーザーに届き、結果として購買行動につながっている可能性がある。

ソーシャルメディアの影響は数値にはあらわれていないが、TVなどの広告費が少なくソーシャルメディアを多彩に活用しているスターバックスの業績が好調なことや、ソーシャルメディアを長く活用しているマーケッターほど、ソーシャルメディアが売上につながることを実感していることから、ソーシャルメディアが売上につながることを示している。

よって、コンバージョンレートなどの数値だけを追った結果、ソーシャルメディアは販売活動に役立たないと考えて、取り組みをやめてしまうのは早計ではないかと考える。ソーシャルメディアを通して培えるユーザーとのエンゲージメントは、ブランドを育てユーザーの親密度を高めることができる。これが、結果として数値には現れない部分で、消費者のオンラインのアクセスに影響し、売上に貢献するということを、今回紹介したデータは示している。

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