ブランディングとは何か

2011年4月15日に翔泳社より「Facebookブランディング」という書籍を出版することになりました。

さて、このタイトルにある「ブランディング」という単語ですが、実はピンと来ないという方も多いのではないかと思います。

「Facebookをビジネスに使う!」といった趣旨の書籍がたくさんある中で、なぜあえて「ブランディング」なのか、そして「ブランディング」のゴールは何なのか、ということを考えてみたいと思います。

ブランドをどう捉えるか

ブランドというと何を思い浮かべますか?Apple、Coca-Cola、Nintendoなどをあげる人も多いでしょう。では、それ以外はどうでしょうか?例えば、Social Media Experienceはブランドだと思いますか?

「ブランドとは何か」ということについては、「ソーシャルメディアとブランディング」という記事で紹介しました。

その記事では、ブランドを以下のように整理しました。

製品やサービス、ロゴなどに加え、広告、製品の対象者、その企業の理念や哲学、消費者と製品との関わり(購買経験や製品にまつわる思い出)、ショップの雰囲気やショップ店員など、さまざまな要素が混じり合って作られていると言える。

こうしたブランドのイメージは、消費者それぞれの心にあるものである。企業がコントロールできるイメージもあれば、消費者によって作られ企業がコントロールできないものもある。

これは、私が書籍「Facebookブランディング」で意図しているブランドでもあります。

「ブランドとは何か」という問に対する答えは、一種の禅問答や哲学にも通ずるようなものがあります。Quoraでも「What is a brand?」という質問があり、現在44のさまざまな回答が寄せられています。

ブランドは大企業だけのものか?

こうして考えてみると、ブランドとは大企業だけのものではないことがわかります。中小企業や個人であっても、他とは異なる確立したブランドを作ることができます。

逆に大企業であっても、ブランドが確立していない、あるいは戦略が失敗しているところもあります。

例えば、システム構築をするときのステップとして、機器選定があります。一般的に、このときにサーバー製品であれば、要件を満たすサーバーを販売している企業に問い合わせを行い、見積もりをとります。この時、結果として、営業同士の値引き合戦になったり、他のサービスとの抱き合わせなどによって付加価値をつけられることがあります。こうして選ばれたものは、ブランドではありません。結局、数年後の機器交換のとき、まだ同じようなやり取りが行われます。つまり、「唯一無二」の存在ではなかったということです。

一方で、ローカルビジネスなのに「唯一無二のお店」として支持され、全国から注文があるお店もあります。長野のケーキ屋さんでは、1年に1回子どもたちが考えたケーキを作り、それを無料で配る「夢ケーキ」という取り組みをしています。「無料で配るなんて損するだけ!」と言われたこともあったそうですが、そのお店は子どもや家族にとって「自分だけのケーキをプレゼントしてくれた特別なケーキ屋さん」になります。結果として、誕生日や記念日の特別なケーキは必ずこのお店に注文する、というお客さんがとても多いそうです。

ブランディングのゴールは何か

先に述べたように、ブランドそのものは、ユーザーの経験やイメージ、期待や満足度などを反映するものなので、企業がすべてコントロールできるものではないとされています。しかし、企業が何もできないわけではありません。

ブランディングとは、ブランドを確立するための企業の活動です。ユーザーにどういう経験をしてもらいたいのか、どういうイメージを持ってもらいたいのかを定義し、それに近づくための活動すべてがブランディングであるといえるでしょう。

つまり、ブランディングのゴールは、企業が思い描いたブランドイメージをユーザーにもってもらうことになります。よって、ブランディングをはじめるにあたっては、企業がどういうブランドを目指すのかを整理し、それを経営者をはじめ、従業員全員が共有して日々の企業活動をすすめていく必要があります。

自社のブランドを定義する

自社のブランドを定義するにあたって、いくつか検討するべき項目を整理してみましょう。製品の場合は、製品として考えてみてください。

・基本データ(事業内容、ミッション、企業理念など)

・外側から見えるもの(ロゴ、カラー、イメージなど)
・ユーザーのこと(対象者、なぜその企業の顧客となるのか、意思決定を左右する条件、どこに満足度を置くかなど)
・競合企業のこと(競合の有無、比較した場合の長所/短所など)

こうしたことを複合的に考えて、製品やサービス、接客やサポートなど様々な活動につなげていきます。

例えば、あるレストランチェーンでは「低価格であることにお客さんに満足してもらい、料理はまずくないを目指す」という戦略をとっています。つまり「安いけどまずくない」というブランドのあり方です。

Facebookはなぜブランディングに使えるのか

Facebookをはじめとしたソーシャルメディアは、ブランディングととても相性がよいものです。ブランドはユーザーの経験や満足度などを通じて形作られる物だからです。

これまで、企業とユーザーが公の場所でコミュニケーションを楽しむことはとても難しいものでした。どうしても、企業側からの一方的なメッセージである広告などが中心でした。イベントやキャンペーン、キャラクターを使ったPRなども行う場合もありましたが、やはりお金のかかるこうした活動ができるのは、大企業に限られていたように思います。

しかし、ソーシャルメディアを使えば簡単にユーザーとのコミュニケーションを持つことができます。これまで、ユーザーが製品やサービスなどを長期間使ったあとの意見やアイデアを追跡することは困難でしたが、ソーシャルメディアを上手に使えば、顧客と長くコミュニケーションをとることもできるでしょう。ユーザーの言葉の中には励ましもあれば厳しい意見もあるでしょうが、問うこと、意見をもらうこと、聞くこと、答えること、すべてがブランディングにつながります。

さらに、ソーシャルメディアでは、購入前の潜在顧客とコミュニケーションをとれることも重要です。ソーシャルメディアの運用では、「どれだけユーザーに価値を与えることができるか」ということを考えなければなりません。例えば、Facebookページを見に来たユーザーだけの特別な情報を提供することは、ユーザーと企業との間に特別な関係を発生させます。

まとめ:誰でもブランディングができる時代へ

ソーシャルメディアが普及したことによって、さまざまな情報が共有しやすくなりました。ユーザーも自分の経験を共有するし、企業もそれに反応することができます。

私がSocial Media Experienceというサイトを開設したのは、昨年の10月ですが、短期間の間に多くの人に記事を読んでもらうことができたのは、多くの読者が共有するという行動をしていただいたためでしょう。また多くのコメントをいただきましたが、好意的なものばかりではなく、厳しいものもあります。そうした意見を受けてさらに次の記事、次の記事と公開しているうちに、書籍や講演などのお話もいただくようになりました。これは、Social Media Experienceがすこしずつ、ブランドとして受け入れられ始めたからだと思います。

つまり、ブランディングは大企業や特別な組織のためのものではないのだということを知ってもらえればと思います。

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