TwitterとFacebookでは情報の広がり方が違う

Social Media Experienceには、TwitterのRTの数が300を超えている記事が2つ、Facebookの「いいね!」が500を超えている記事が4つある(うち、どちらの条件も満たす記事は1つ)。

Social Media Experienceは扱うテーマをソーシャルメディアに絞っているので、対象読者が限定されている。よって、少なくとも現時点の読者数から言えば、RTが300を超えた記事、「いいね!」が500を超えたものは人気のあった記事と考えられる。

今回は、TwitterのRT数300とFacebookの「いいね!」数500になっている記事が、どのような経緯で広がっていったのかを考えた。

結果、両者のメディア特性の違いを反映して、広がっていくタイミングと、誰がインフルエンサーになるのか、という違いが見えてきた。それらを踏まえて、企業でキャンペーンなどを実施するときに、注目するべきポイントを整理してみた。

Twitterによる情報の広がり

RT数が300を超えた2つの記事は、ある特定のインフルエンサーたちが記事のリンクをツイートしたことがきっかけとなって、連鎖的に広まっていった。

インフルエンサーとは、多くのユーザーの行動に影響を与えるユーザーのことである。ソーシャルメディア上のインフルエンサーであれば、その人がリンクをシェアすることで、他のユーザーにソーシャルメディアに関連した以下のような行動に影響を与える。

1. 共有されたリンクのクリック

2. シェアされた内容をさらにRT
3. コメント付きRT
4. はてななどソーシャルブックマーク
5. 記事に対する「いいね!」
6. ブログなどで記事への言及

上位になるほど、ユーザーの行動は発生しやすいといえる。なお、アクセス数から推定すると、リンクをクリックしたうちRT以降のアクションを実行するのは、およそ3%-5%である。

RTはほぼ1−2時間以内に発生する

インフルエンサーがツイートしたあと、その後に発生するRTのおよそ7割が1−2時間以内に発生する。

これは、Twitterのメディア特性として、ユーザーの多くがその時見ているタイムラインを流れてきたものしかチェックしないということが影響している。カナダの調査企業Sysomosの調査レポートでは、RTの9割がオリジナルのツイートから1時間以内に発生すると報告されているが、この傾向が実証されたともいえるだろう。

Facebookによる情報の広がり

これに対し、Facebookの「いいね!」の発生の経緯などは、Twitterほど顕著に追うことができない。ただ、アクセスログやFacebookのインサイトなどから推測すると、特定の誰かによるシェアで短時間に一気に広がるのではなく、次に説明するように友達のシェアによって徐々に広まっていく様子がうかがえる。

何段階かに分けて情報が広がる

あるユーザーが記事について「いいね!」をクリックする。すると、以下のようなことが、段階を追って1−2日間かけて発生していく。

第一段階

1. シェアされた記事のリンクが友達のニュースフィードに表示される

2. 友達1がその概要をチェックし、興味があればリンクをクリックする
3. 友達1がそのリンクについて「いいね!」をクリックする
4. 友達1がそのリンクについてコメントをする
5. 友達1が記事そのものに「いいね!」をクリックして、自分もシェアする。

第二段階

1. 友達1のアクションがさらにその友達である友達2のニュースフィードに表示される

2. 友達2がその概要をチェックし、興味があればリンクをクリックする
3. 友達2がそのリンクについて「いいね!」をクリックする
4. 友達2がそのリンクについてコメントをする
5. 友達2が記事そのものに「いいね!」をクリックして、自分もシェアする。

同じようなステップで、第三段階、第四段階と友達のネットワークを経由して、情報が少しずつ共有されていく。なお、上記の3-5の発生は順不同である。

1回の「いいね!」で数百のインプレッション

友達のシェアしたリンク(元記事に対して「いいね!」をクリック)がニュースフィードに表示されたときに、どれくらいクリックされるのかは、Facebookのドメイン用インサイトから予測してみよう。

なお、今回検証に利用するのは直近の1ヶ月のデータである。これは、ドメイン登録をしたのが数ヶ月前であり、必ずしも該当記事を公開したときのデータが取れているわけではないことによる。

ところで、ドメインインサイトとは、Facebookのソーシャルプラグイン(「いいね!」ボタンやコメントボックスなど)を設置しているWebサイトなどで利用できる分析ツールである。「いいね!」ボタンの表示回数やクリック数、Facebook内での表示回数などが表示される。

ドメイン用インサイトでわかったSocial Media ExperienceのFacebookでのシェアされる状況は以下の通りである。

・「いいね!」ボタンCTR:約1%

・「いいね!」記事CTR:約0.7%
・シェア記事CTR:約1.4%

なお、「いいね!」ボタンCTRとは、Webサイトの記事の総表示回数に対して、「いいね!」がクリックされる割合、「いいね!」記事CTRとは、「いいね!」がクリックされたことがFacebook上で表示された総数に対して、別のユーザーがリンクをクリックした割合、シェア記事CTRとはニュースフィードまたはウォールでWebサイトリンクをシェアした時のその総表示回数に対して、別のユーザーがクリックした割合である。

また、Social Media Experienceの場合、サイトへの反応(「いいね!」のクリック、リンクのシェア)による、Facebook上での露出機会(ユーザーのニュースフィードへの表示)は232倍となっている。この数字は、Twitterのツイートの効果と数字で比較はできないものの、大きな力を持っている言える。

両者の違い:広まる時間とインフルエンサーの存在

両者を比較してわかることは2点ある。

まず、Twitterは短い時間に爆発的に情報がシェアされるが、Facebookではもっとゆるやかに情報がシェアされ、それが何段階かにわけて広まっていく。

もうひとつは、Twitterでは強力なインフルエンサーが存在するが、Facebookではインフルエンサーの影響力はTwitterほど強くはない。これは、Twitterはユーザーを一方的にフォローすることができるが、Facebookでは相互の承認がないと友達関係になれないということが影響していると言える。Twitterでは、著名人をフォローしてその人の発する情報を収集することができるが、Facebookでは、著名人と友達関係にはなれない場合が多いため、その人のFacebook上での情報発信を収集することができない。

(なお、著名人で、Facebookページを持っていれば、ユーザーがFacebookページでの情報発信を追うことはできるが、今回の考察ではプロフィールページを使った情報の共有についてのみ検討した。)

企業が意識すること

これらの結果より、企業がキャンペーンなどをWebサイトやソーシャルメディアを使って告知する場合に意識するべきことを整理してみよう。

情報を共有しやすいサイト作り

基本的なことであるが、キャンペーンのページや案内に、ツイートボタンや「いいね!」ボタン、「シェア」ボタン、ブックマークボタンなど、ユーザーが情報を共有しやすいサイトを作ることが必須である。こうした工夫をするだけで、情報の広がる確立は格段に上がるだろう。

インフルエンサーの力は使えるか

Twitterの場合、インフルエンサーがツイートすることで告知の効果は非常に高まる。では、そのキャンペーンにおけるインフルエンサーとなる人物は誰なのか。インフルエンサーを発見したい場合、例えば、以下のような条件を考えてみるとよいだろう。

・専門分野があり、それがキャンペーンと関係していること

・よいコンテンツを自分で発信していること
・他の人の作成したよいコンテンツを紹介していること
・考え方に共感する人が多いこと

なお、フォロワーの数もある程度は重要であるが、数だけではなくどれだけの人がその人のツイートに影響を受けているのかをチェックしたほうがよい。

続いて、インフルエンサーに告知の協力をあおげるかどうかも考えてみたい。日頃から一定の交流がある人ならば、協力してくれる場合もあるだろう。交流がなくても情報を知らせれば、ツイートしてくれる場合もあるかもしれない。実際にインフルエンサーを企業側でビックアップし、彼らに報酬を支払うかわりにツイートしてもらうことで、家電製品の売り上げを劇的に伸ばした事例もある。

ここで、注意したいことは、なぜその人が影響力のあるユーザーなのか、ということだ。企業に依頼されて宣伝のようなツイートばかりしているユーザーは、それが有償、無償に関わらず、他のユーザーから反感を買いかねない。これはその人のインフルエンサーとしての情報の伝播力を落とすことにもなるので、インフルエンサーの中には、意識的に広告的なツイートはしないようにしている人もいる。

理想は、インフルエンサーがおもしろいと感じて、自主的にツイートしてもらうことである。

ユーザーの間で話題になりやすいことは何か

Facebookの場合、ユーザーが「いいね!」をクリックすると、友達のネットワークを介して情報が共有されていく。

よって、日頃から対象とするユーザーがどういうトピック、あるいはどういうメディア(動画、写真、記事など)についてシェアする傾向があるのかを分析しておく必要がある。

また、ユーザーが「いいね!」をクリックすると、Facebook上のインプレッション回数が数百倍になるということについても注目したい。

例えば、Webサイト上に設置された「いいね!」をクリックすると、タイトル、画像、記事のテキストの一部がFacebook上でシェアされることになる。タイトル、テキストについては自動で設定されるが、画像はユーザーがサイト内から読み込んだ任意の画像を選択することになる。

よって、シェアされた情報を見たユーザーがすぐに内容を把握でき、かつ興味をひかれるようなタイトルや画像を元のサイトに設定することが重要だ。なぜなら、外部のWebサイトにアクセスしなくてもキャンペーンの概要がわかれば、高い周知効果が期待できるからだ。

まとめ:コントロールはできないが、できることはある

キャンペーンの情報をユーザーが興味を持って話題にするかどうかは、企業側ではコントロールすることはできない。

しかし、情報が広がるときの条件を知ることでアプローチはできる。そのためには、ソーシャルメディア上で、ユーザーはどういう人の発言に影響を受け、またユーザーが何を話題にしているかということを日頃から分析することである。

さらに、自分だったらどういう情報を友達とシェアしたいか、という視点からキャンペーン情報を作成することも効果的だ。

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