見せるから見たいへ:広告の常識が変わる

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話題になるコンテンツを作れるかどうかが、ビジネスの成功の上でとても重要になるということを「2011年、成功の鍵はコンテンツ」で紹介した。

広告コンテンツにおいて、上記を裏付けるようなデータがあったので、以下のポイントを紹介しながら、コンテンツを利用して顧客の購買行動を喚起する「コンテンツマーケティング」について考えてみたい。

  • 史上、最も見られたオンライン広告は?
  • 内部制作でもアイデアで勝負できる
  • 必ずしも有名人は必要ない
  • 2010年の動画視聴回数が激増
  • なお、コンテンツマーケティングとは、Wikipediaによれば以下のように定義されている。

    現在、あるいは潜在的な顧客をエンゲージさせることを目的にしたコンテンツ制作、コンテンツ共有などを含むマーケティング用語。コンテンツマーケティングでは、高品質で的確、かつ価値のある情報を顧客あるいは潜在顧客に提供することで、利益につながる消費活動につなげるという考え方に基づく。コンテンツマーケティングは、読者の注意を保ち、ブランドロイヤリティを高めることことに利点がある。

    史上、最も見られたオンライン広告は?

    YouTubeの公式ブログによれば、2010年11月現在、YouTubeには1分間で35時間分の動画が投稿されているという。圧倒的な量のコンテンツであるが、YouTubeをはじめとしたオンライン動画の中で商用のコンテンツというのは、どの程度見られているのだろうか。

    調査したところ、Advertising Ageが史上最も見られた広告動画を配信しているキャンペーンのランキングを発表していた。なお、このランキングはVisible Measuresというオンライン動画のリサーチなどを行っている企業が測定したものを使っている。

    その結果は、驚くべき物であった。

    Advertising Ageでは毎週オンライン動画ランキングトップ10を掲載しているが、1位になった企業は週刊ランキングの常連企業でもなく、大企業のものでもなく、ものすごく凝った作品を作る企業でもなかった。

    なんと、1位は「2011年、成功の鍵はコンテンツ」でも紹介したあのド肝を抜くコンテンツを作っているBlendtecだった。上記の記事でも紹介したが、この企業はこの動画コンテンツを制作して以来、売上が700%増加した。

    ランキング発表

    以下がYouTubeが始まって以来、最も見られた広告動画のランキングである。

      ブランド キャンペーン 再生回数
    1 Blendtec Will It Blend? 134,256,499
    2 Evian Live Young 103,867,704
    3 Old Spice Responses 57,132,669
    4 Pepsi Gladiator 46,742,892
    5 Microsoft Xbox Project Natal 42,698,599
    6 Dove Evolution 41,100,418
    7 T-Mobile T-Mobile Dance 35,487,575
    8 Doritos Crash The Super Bowl 2010 34,168,845
    9 Old Spice Odor Blocker 33,986,750
    10 DC Shoes Gymkhana Two 32,872,531

    (映画の宣伝、ビデオゲームキャンペーン、テレビやメディアのプロモーション、公共広告はのぞく)

    内部制作でもアイデアで勝負できる

    特筆すべきが、1位のBlendtecと10位のDC Shoesは、広告代理店を利用していない内部制作であることだ。Blendtecは、自社制作らしく費用をかけずにアイデア勝ちの動画であるが、DC Shoesはかなりこだわった構成、映像、演出となっており、これまた別の意味でド肝を抜かれる。

    必ずしも有名人は必要ない

    こうしたオンライン広告においては、必ずしも有名人を起用する必要はない。2010年の動画キャンペーンランキングにおいては、有名人を起用したコンテンツは、10本中2本であった。

    逆に、4つのキャンペーンがランキング入りしたOldSpiceは、有名人ではない人物をキャンペーンに使っている。出演しているIsaiah Mustafaは一連のキャンペーンによって有名人になった。

    Visible Measuresによると、有名人を利用したキャンペーン180本と通常のキャンペーン270本をサンプル調査したところ、通常のキャンペーンでは年間平均閲覧回数650万であるのに対し、有名人を利用したキャンペーンでは同350万であるという。また、有名人を起用したキャンペーンでは、最初の2週間は通常のキャンペーンよりも閲覧回数が多くなるが、それを過ぎると通常のキャンペーンのほうが多くなっていくという。

    同社はこの理由を「コンテンツがバイラルになるには、見る側の想像力が不可欠。有名人はすでに理解されているし、十分知られているのに対し、有名人ではない場合、余計想像力をかきたてられるからでは。」としている。

    2010年の動画視聴回数が激増

    2010年のトップランキングの閲覧回数の合計は3億2千万回であった。2009年の1億9千600万回と比較すると63%増加したことになる。

    これは、TwitterやFacebookを始めとしたソーシャルメディアによって、友人や知人同士でおもしろいコンテンツを共有しあうことで、これまでオンライン動画を見なかった人も見るようになってきているといえる。

    従来の広告手法では、テレビCMなどに代表されるように、視聴に対し強制的に見せるようなしかけであった。しかし、ソーシャルメディア時代に入ってから、人はおもしろいものを自らすすんで見て、しかもそれを人にすすめて、さらにそれが広がっていくという流れになったのである。

    この傾向は2011年もますます加速していくことは間違いない。高い費用をかけてマスメディアの広告枠を買い、巨額の制作費や有名人の出演費用を投資しなくても、人が誰かに教えたくなるようなおもしろいコンテンツを作っていくほうが、効果的な広告ができるようになるのである。

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