ソーシャルメディアのアウトソース

ソーシャルメディアを使ったPRやマーケテイングを検討している企業にとって、ソーシャルメディアコンサルタントなどの専門家に相談するか、あるいは一部の運用をアウトソースするかどうかということは悩ましい問題です。

ソーシャルメディアコンサルを行う企業も増えてきました。しかし、ソーシャルメディアの基本は、運用する企業と顧客とのコミュニケーションです。果たして、運用をアウトソースできるものなのでしょうか。今回は、企業のソーシャルメディア活用において、アウトソースできる業務、できない業務について考えます。

そもそもなぜアウトソースするのか

そもそもなぜ専門家を雇う必要があるのでしょうか。大きく2つの理由が考えられます。

1つが社内に専門的な知識を持つ人材がいないということです。ソーシャルメディアのビジネス活用が本気で考えられるようになったのは、ここ1、2年のことです。社内でビジネス活用のノウハウや知識を持っている人は、ほとんどいないでしょう。よって、専門のコンサルタントに頼むかどうか検討することになります。

もう1つが時間やリソースの不足です。ソーシャルメディアの運用を本気で行う場合、時間と人的リソースがかかります。時間がかかる業務の一部をアウトソースすることは、現実的な解の1つです。

アウトソース可能な業務

まず、アウトソースできる業務を考えましょう。

社内教育

ソーシャルメディアをビジネスで活用する場合、その意義や方法、戦略づくりや運営の考え方、注意点などを正しく理解する必要があります。もちろん、運営しながら学んでいくことも可能ですが、ある程度の企業規模で、複数の従業員がソーシャルメディア運用に関わる場合は、共通した知識や考え方を身につけておくことが理想的です。

導入前に、専門家を招いてソーシャルメディアの知識を習得するためのセミナーや実践的な従業員教育を行えば、その後の運営を円滑に進めトラブルを減らします。社外のセミナーなどに参加するのもよいでしょう。

就職面接

専門のコンサルタントにアウトソースするのではなく、新しく専任の人材を雇って運用することを計画している場合に問題になるのが、人材の見極めです。日本国内でも、ソーシャルメディアの活用という視点から、専門の人材を募集する企業もいくつか出始めてきました。しかし、面接をする人にソーシャルメディアの知識がなければ、有能な人かどうかを見極めるのは大変困難です。この場合、面接の場にコンサルタントを呼んで一緒に評価するという方法が有効です。

ソーシャルメディアポリシー

ソーシャルメディアの運用においては、リスクがあるのも事実です。従業員の不用意な発言や態度が原因で情報漏洩や炎上というトラブルを引き起こしてしまうと、企業の信頼性や評価はがた落ちです。こうしたリスクを最小限にするためには、運用に関する共通した方針が必要です。その方針がソーシャルメディアポリシーと呼ばれるものです。

Web上を検索すると、ソーシャルメディアポリシーを公開している企業をたくさん見つけられます。こうした具体的な事例を研究して、自社にあったポリシーを策定することもできます。時間はないが費用はあるという場合は、ポリシー策定の部分をコンサルタントに相談するのもよいでしょう。

戦略策定

Facebookファンページを作る前に考える3つの問い」でも紹介しましたが、ソーシャルメディアを導入するにあたっては、まず計画と戦略を練ることが重要です。その後に具体的なキャンペーンの内容などを考えます。

ここで様々なアイデアが出てくればいいのですが、具体的な戦略となるとイメージがわかないということもあるはずです。そこで、専門家に過去の同業他社の事例の調査をしてもらったり、効果的なキャンペーンを展開するためのアドバイスをもらったりすることは、大きな助けになります。

いざというときのアドバイザー

ソーシャルメディアを実際に運用してみると、こういう時はどうしたらよいのだろうかと悩む場面が出てくるはずです。例えば、荒らし行為に近い書き込みをしてくるユーザーへの対応方法や、利用しているサービスのバージョンアップによる機能追加や変更への対応です。

特にTwitterやFacebookは、次々に新機能を追加したり、頻繁にインタフェースを変更することがあります。こうしたときに、相談にのってもらえるアドバイザーがいることはとても心強いはずです。

技術的な分野

ソーシャルメディアの良いところの1つが、運営するために必要なインフラやプラットフォームを自社で持たなくてよいところです。これまでアウトソースは当たり前となっていたシステム構築やサイト制作に費用がかからなくなっったことはとても大きなメリットです。

しかし、社内の担当者だけに任せるのは少し荷が重い部分がいくつかあることも事実です。例えば、ファンページの作成です。ファンページをカスタマイズするには、スタティックFBMLというFacebookの独自の言語とHTML/CSSを組み合わせる必要があります。それほど難しいものではありませんが、HTMLの経験がまったくない人にはとっつきにくいものです。

こうした技術的な知識が要求される部分や、Twitterの背景のデザインなど一手間かけるとぐっと見栄えがよくなる細かい設定などは、アウトソースを検討する価値があるでしょう。

また、動画の制作やキャンペーンのキャッチコピーなどは、外注すると一段階上のクオリティの作品ができあがります。

効果測定や分析

ソーシャルメディアの運用状態をモニタリングして、数値的な評価や効果測定をすることも重要です。数値の見方や分析方法などは、コンサルタントが得意とする分野ですので、アウトソースして、定期的にレポートをもらうようにするのもよいでしょう。

自分でモニタリングしていると、ちょっとした数値の変化に一喜一憂してしまうことがあります。また、特別の効果測定ツールなどを利用して分析するサービスを提供している企業もあるので、通常で分析できる範囲よりも詳細な計測値を得ることができます。

アウトソースできない部分

コミュニケーション

アウトソースできない部分は、ソーシャルメディアの肝の部分です。つまり顧客とのコミュニケーションです。

ソーシャルメディアを運用するということは、オンライン上でブランドを作るということです。それは企業の文化を土台にして作られた顔でもあります。別の人の顔をつけることはできません。

仮に顧客とのコミュニケーションを外注したとしても、なかなかうまくはいかないはずです。なぜなら、どんなに優れたコンサルタントであっても企業の外の人である限り、その企業の性質や特殊性を完全に理解することはできないからです。

例えば、企業の方向性についてのディスカッションが発生した場合、企業の外の人が代理で答えることはできません。また、顧客が専門的な内容について業界用語を使って質問をしてきても、正しく答えることは難しいでしょう。顧客の期待が何かを正しく理解できるのは、その企業に属するプロフェッショナルの人だけです。

さらに、コミュニケーションの部分を任せてしまうと、ダイレクトな顧客や見込客の声を聞くことができないというデメリットがあります。コンサルタントは意見をピックアップして教えてくれるかもしれませんが、重要な意見やアイデアを聞き漏らしたり見逃したりすることもあり得ます。

Twitterなどのコンサルタントをしている方から、お客さんの中には「おまかせ」といってなかなか自分で運用するフェーズに切り替えないところもあるという話を聞きました。とてももったいないことです。これではその企業がソーシャルメディアを始めた意味はありません。お金の無駄遣いです。

フォロワー増やし

多くはありませんが、「Twitterのフォロワーを1万人にします」というような趣旨のサービスを提供している企業があります。一概には言えないとは思いますが、あまり評価できないサービスだと感じます。

散々いいつくされていることですが、重要なのはフォロワーの数ではありません。自分の声を聞いてくれて、そこからアクションをしてくれるようなフォロワーの一人一人が宝なのです。単にフォロワー数だけ増えても、ツイートを誰も見ないようではまったく意味がありません。

きちんと顧客の声を聞き、コミュニケーションを続けていけば、フォロワーもファンも自然と増えていきます。楽して数だけ増やそうなどと考えずに地道に運用していきましょう。

アメリカではアウトソースは減っている

さて、アメリカにはとてもたくさんのソーシャルメディアコンサルタントやソーシャルメディアコンサルを行う企業が存在します。

しかし、最近の調査ではアウトソースするよりも社内で運用するようになってきているということです(参考 8 Social Media Trends Impacting Businesses)。調査では、ソーシャルメディアを活用している企業のうち、67%が1年半以上の運用していると答えています。導入してから1年以上経つと、ソーシャルメディアの運用のコツがわかり、アウトソースに頼らなくても社内で適切な運用ができるようになったということだと考えられます。

まとめ:外に出せる部分と出せない部分の線引き

さて、ソーシャルメディアのアウトソースについて可能な部分と不可能な部分について考えてみました。

日本ではこれからソーシャルメディアを始めようという企業がほとんどだと思います。最初の導入ステップでは専門家のアドバイスを受けることはとても有効でしょう。

しかし、必ずしもアウトソースするべきだというわけではないことに注意してください。前述したアウトソース可能とした業務についても、時間があるのであれば、自分で調査して実行することができます。どうしても時間がない、という場合はアウトソースも検討する価値がある、ということです。

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