新しい消費者がビジネスの成否を決める

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ソーシャルメディアが私たちの生活に浸透する以前、消費者はただの消費者でした。私たちは、目の前にある商品を選び、購入し、評価していました。

選ぶときの選択基準の多くが広告やパッケージ、価格など、企業や小売店側から与えられた情報でした。評価した結果は、自分が再度買うか、買わないかということにしか影響しませんでした。場合によっては、周りの友人や知人とその評価を共有することはありましたが、影響の範囲はごく限られたものでした。

企業は、目に見えない消費者の意識をトレンドとして目に見えない指標で評価し、消費者の評価を売上で判断していました。消費者の意識を調査するアンケートなどのマーケティングは行われていますが、その限界点も指摘されています。

しかし、消費者がソーシャルメディアを使うようになってから、消費者はこれまでの消費者というイメージを超えるいくつかの役割を持つようになりました。この事実を認識しているかどうかは、今後のビジネスの展開の大きな分岐点になります。

調査者

人は購入する前に、オンラインでその他のユーザーの商品の評価やコメントを参照するようになっています。レストラン、日用品、食材、ファッション、家電、住宅まで、何でも買う前にリサーチして、購入するかどうかを判断します。

Googleは最近この分野に注力しています。

  • Googleショッピング
  • Googleおみせメモ
  • Boutiques.com
  • 仲間

    オンラインで知り合った消費者同士は、友達とも家族とも異なる仲間のようなもので、知識や経験を共有しています。ただ、見知らぬ誰かの評価をそのまま信じるのではなくて、複数の見知らぬユーザーの集合知としての評価を仲間の評価=ソーシャルプルーフとして信用します。

    批評家

    もちろん、人の評価を見るだけではなく、自分でも購入した商品の評価をすることができます。自分が使用した経験を評価としてオンラインに簡単に投稿できることで、誰もが批評家になれるようになりました。

    アドバイザー

    商品を評価するだけでなく、経験者として、こだわり派として、一消費者として、見知らぬ迷っている人にアドバイスをしたり、参考情報を提供したりということもできるようになりました。例えば、ある素材を使った衣料品についての手軽な手入れ方法を提供すると、それを見た別の人がその素材を含む衣料品購入のきっかけになったりします。

    アイデアマン

    消費者はアイデアマンでもあります。商品を提供している企業が予想もしない上手な使い方をすることがあります。かつては、それは特定の家庭や身近な人たちだけで共有されている情報でした。今は、みんなのアイデアを募集して新しい使い方を提案していくなどの方式が当たり前になりました。

    レシピサイトのクックパッドでは、お酢を使った料理のアイデアを募集する企画をしたところ、様々な主婦たちの知恵が集まりました。商品のタグに優れたレシピを付けて販売したところ、お酢の売上が大幅に向上しました。

    ファン

    ファンとはその企業やブランド、商品を大好きになってくれて、自ら情報を発信したり、積極的に商品購入のリピートをしてくれたりする人のことです。

    ファンというと、芸能人やアーティストなど特別な人しか持てないものだという先入観がありますが、ファンはどんな小さな企業やブランドでも作ることができます。そして、ファンになってくれた人の影響力はとても大きいのです。ファンについては、別途記事を公開する予定です。

    インフルエンサー

    情報を定期的に発信し続けるとその人はインフルエンサーになります。普通の主婦でもブログなどで的確な情報を発信し続けると、その人の言うことに信頼性が集まり、他の人たちが影響を受けるようになります。インフルエンサーのセンスを評価している人は、「あの人がいいと言っているから試してみよう」あるいは「あの人がダメだと言っているから買うのを控えよう」というように、購買行動に影響を受けるようになります。

    消費者を怒らせるとその人は敵にもなり得ます。消費者は良い商品やサービスを褒めると同時に、悪い商品やサービスは正直に批評します。特に、苦情を言ったのにきちんと対応してもらえなかった、話を聞いてもらえなかったという経験があると、その人はもはや企業にとって敵といっていいほどに、その企業を嫌いになることがあります。

    ある商品をふとしたきっかけで大好きになってファンになるのと同じように、ちょっとしたことで大嫌いになり敵になることがあるのです。ファンを増やすのはとても時間がかかりますが、ファンを減らして敵に変えるのは一瞬です。

    まとめ:消費者の声を聞きやすい時代

    自分の生活を振り返りみても、テレビや雑誌の広告を鵜呑みにして購入することはほとんどなくなりました。つまり、企業から発信できるメッセージの力が弱まり、他の消費者からのメッセージの力が強まっているのです。

    消費者はソーシャルメディア上でいつも同じように自分の消費活動を発信しているわけではありませんが、多くの人が何らかの形で発信をしています。これまで、費用をかけて実施していた意識調査が、ソーシャルメディア上の声を聞くことでできるようになったとも言えます。特にTwitterは、正直な気持ちを言葉にしている人が多く、生の声が聞ける大きなチャンスです。キーワード検索や特定のユーザーの発言をトラックして、何が話されているのかを注意して聞いてみるとよいでしょう。

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