激論!日米ソーシャルメディアの行方

Neal Schaffer氏と対談

Neal Schaffer氏(@nealschaffer)は、Windmills MarketingのCEOで、ソーシャルメディアコンサルやスピーカーとして精力的な活動を行なっている人物だ。LinkedInについての著作「Maximizing LinkedIn Book」はAmazonでベストセラーになるなど、アメリカのソーシャルメディア界でも強烈な存在感がある。先日来日した際に、日米のソーシャルメディアの活用の違いについて意見交換を行った。

RTでコメントする日本人

Ayumi: ソーシャルメディア活用における日米の違いで私がもっとも気になっていることの1つがディスカッション方式の違いです。

日本では、ブログなどを書いても直接コメントのセクションにコメントを投稿してくれる人はとても少ないです。でも、TwitterでRTをしてくれる人や、RTをするときにコメントを付加してくれる人はとても多いのです。アメリカではコメント欄で意見交換をしている人が多いように思うのですが。

 
Neal: コメントが少ないのはアメリカでも同じような状況です。私もブログでたくさんの記事を書いていますが、100以上RTされる記事でも、コメントが付かないことがありますよ。

それについては特に問題だと思っていません。なぜなら、記事のURLがRTされることで多くの人に広まるから、より多くの人に届きます。反面、ブログのコメントは、情報の共有ではないので、他の人に広めるという効果がない。かつてはブログのコメントが重視されていましたが、記事のことを広めるRTのほうに価値が移っています。

Twitterは自分の領域という意識

Ayumi: その点は同意です。でも、多くの人にとって、ブログのコメントというのは敷居が高く、Twitterでコメントするのは敷居が低いという意識があると思うのです。なぜなら、ブログやFacebookのファンページは、運営している私のエリアだけど、Twitterはそのアカウントが持っている自分だけのエリアだからです。Twitterは自由に意見を言いやすいのです。
 
 
Neal: Twitterはパブリックな場だと思うけどな。Googleの検索対象だし、誰でも見ることができる。mixiはプライベートな場所だったし、2ちゃんねるも匿名の文化だった。でもTwitter以降、日本も実名を使い本人の写真を使うようになってきていて、これは大きな変化です。
 
 
Ayumi: その変化は大きいですね。でも、まだ変化の段階で、実名、本人アイコンは少ないと思います。

Togetterが議論の場

Ayumi: Togetterという日本のサービスをご存知ですか。これは、特定のテーマについてのツイートを1つのページにまとめるものです。

例えば「ページビュー至上主義の終焉」という記事は、約300ほどRTされました。RTする時に、みんながコメントを付け加えてくれたので、ある人がTogetterでまとめてくれたのです。

 
Neal: (Togetterのページを見て)なるほど。テーマに興味を持った人がみんなのツイートを集めるのですね。ツイート内でリンクされているのが、その記事なんですね。こういうサービスはアメリカにはないですね。
 
Ayumi: とてもよい意見がたくさんあるので、私としてはファンページなどでディスカッションしてもらえるといいなと思うのですが。
 
Neal: でも該当の記事でも言っているように、ページビューではなくてエンゲージメントが重要なんだから、場所はどこでもいいのではないかな。これはまさにソーシャルメディア的だと思うよ。

コメントがつかないファンページ

Neal: ちなみに君のゴールはなんだろう。
 
Ayumi: 私のゴールは、私の提供したテーマを元にみんながアイデアの交換やディスカッションをしてソーシャルメディアの活用につなげることです。
 
Neal: なるほど。僕のゴールは、多くの人がソーシャルメディアをビジネス目的で使おうとしているので、そういう人たちを助けたり、教育したりすることなんだ。
 
Ayumi: なるほど。ファンページを始めたとしても、なかなかファンページ内のコメントが増えないということで悩んでいる企業が多いと思いますが、どうしたらいいんでしょうか。

適材適所でバイラルを生む

Neal: アメリカでもそれは同じです。いくつかの有名な企業はファンページが盛り上がっていますが、それ以外の企業では全然ファンページにコメントが付かないこともあります。だからそもそも対象のユーザーがどこにいるかを見極めないといけないということを伝えています。日本ではTwitterユーザー数は1100万人以上だけど、Facebookではまだ160万人くらいで、10倍近くの差がある。

日本では、Twitterは普及したけれども、今のところFacebookを使っているのはギークな人たちだけだと思う。だからFacebookの記事は、テクニカルなことを書くといいかもしれないと思うよ。

自分のブログでも言えることだけれども、Twitterの記事はRTされやすいし、Facebookの記事は「いいね!」を押されたり共有されたりしやすいという傾向がある。

LinkedInやTwitter、Facebookなどさまざまなプラットフォームがある中で、もっとも適しているところを選ぶことで、バイラルが作れると思います。

コンテンツを作れば自然と人が集まる

Neal: 「Field of Dreams」という映画ではないけれど、Twitterでもツイートしていれば自然とフォロワーがついてくるものだと僕は思っています。そこはあんまり心配しなくてもいいことで、コンテンツがあればエンゲージメントというのはだんだん発生するものだと思います。

また、ソーシャルメディアを運営するにおいては、いろいろ試してみることが必要だと思います。とはいっても、ソーシャルメディアを使っている人たちは、本物の人間なので、予測できないところがあるし、今日と明日では違ってくる。方程式のようなものはないので、それぞれカスタマイズしていく必要があると思うよ。

クラスタはバーチャルトライブ

Ayumi: 日本独特だなと思うことの1つがTwitterの見えない属性、クラスタです。特定の興味や趣味などのつながりのある人たちがなんとなく集まるようなカテゴリーなんですけれども、そういうのはアメリカでもあるのですか。
 
Neal: へー、クラスタという言い方は初めて聞きました。アメリカでは似たようなものに「virtual tribe」というものがあります。現実とは少し違う、ソーシャルメディアを介して生まれるグループです。
 
Ayumi: 日本では、一部のクラスタがとても強固なつながりを持っていることがあります。例えば、私はあるアイドルグループのライブに友達と一緒に行きました。そのライブの後にパーティーが開かれたのですが、そこには100人の人が集まりました。しかも参加者たちがボランティアで冊子を作ったり、グッズを作って配っていました。みんなTwitterで知り合って、Twitterを介してパーティに集まってきた人たちなのです。
 
Neal: それはすごいね。Twitter以前はどうしていたのだろう。
 
Ayumi: 多分、100人規模のパーティを開催することは不可能だったのではないでしょうか。Twitterのおかげでパーティの参加者の管理をすることができるようになったのだと思います。
 
Neal: タレントをベースにした一種のオタクなのでしょうね。Twitterは趣味の合う人を簡単に見つけることができるようになりましたよね。
 
Ayumi: そうですね。私たちもTwitterを介してこうして会うことができましたしね。

まとめ:日本独自の意見交換を活用

ソーシャルメディアのエンゲージメントについては、運営者側でターゲットとプラットフォームを見極め、適切な方法でアプローチしていくという方法こそが王道なのだと議論していて感じた。

Nealは続けていけば自然とついてくるといったが、続けていくこと、メッセージを届け続けることは時としてとても難しい。

しばしばアメリカ企業のFacebookのファンページ成功事例が取り上げられるが、コミュニティとして盛り上げられていない企業も多いのも事実である。これは今後、日本でソーシャルメディアを始めようという企業にとっても大きな課題である。

なお議論する中で日本独自の動きや特徴もわかった。日本で、Twitterを介した意見表明が活発なこと、RTを使って意見交換がされていること、そして、Twitterがユーザーをつなぐきっかけになっていることはとてもおもしろい特徴である。こうした特徴は、今後日本ならではのソーシャルメディアの活用方法のヒントになりそうだ。

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