Gamification:なぜいまゲーム化なのか

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Gamification=ゲーム化とは何か

ソーシャルメディア関連の議論などで「Gamification」という単語をよく見かけるようになった。この言葉は造語だが、強いて日本語に訳すとゲーム化ということになる。Webサイトのエンゲージメント(参考:ページビュー至上主義の終焉)を高めるためにも必要な考え方であるとして、バズワードにもなっている。

ただしGamificationは新しい概念ではなく、似たような考え方は2000年ごろからマーケティング分野で使われていた。ゲームベースドマーケティングといった考え方をご存じの方も多いであろう。

今回は、ソーシャルメディアにとってのゲーム化について考えてみたい。

Gamificationの意味

Gamificationとは、Wikiによれば、「ゲーム以外の消費者向け技術アプリケーション(ファンウェア)、特に消費者指向Webやモバイルサイトのために、ゲームプレイの要素を利用することで、人々にアプリケーション利用を促すこと」(Gamification is the use of game play mechanics for non-game consumer technology applications (also known as “funware”), particularly consumer-oriented web and mobile sites, in order to encourage people to adopt the applications.)である。

またBunchballというWebサイト向けゲームプラットフォームを提供している企業は以下のように定義している。

参加をうながすために、ゲームの力をサイト、サービス、コミュニティ、コンテンツ、キャンペーンに統合すること。

つまり、GamificationはWebサイトやサービスなどにゲーム的な要素を加えることで、そのWebサイトやサービスをより魅力的にし、利用者がもっと使いたくなるようなものにすることである。

ゲーム化はすでにおなじみ

ゲーム化のメリットとはどんなことがあるだろうか。実はゲーム化とはこれまでもいろいろな場面で利用されて、人々のモチベーションを向上させてきた。

例えば、小学校時代、夏休みにラジオ体操をしていたころのことを思い出してみよう。毎朝早起きして集合場所まで行き、退屈なラジオ体操に参加することは、普通の子どもにとっては苦痛以外のなにものでもない。

しかし、ラジオ体操用のスタンプカードと、それをコンプリートしたときにもらえる賞品(お菓子や文具など)がモチベーションになり、続けていたという人も多いだろう。

カードに押されるハンコは達成度の可視化であり、達成すれば報酬が得られるという保証によって、子どもは動機づけされて行動していたのである。

その他、商店街のくじ引きや社内のコンペなど、あらゆる場面でこうした事例をみつけることができる。

ソーシャルメディアと親和性の高いゲーム化

ゲーム化は、ソーシャルメディアと非常に相性がよい。ソーシャルメディアを活用することそのものがゲーム的な要素になっているのである。

特に顕著な例が位置情報サービスのFourSquareGowallaなどである。チェックインするたびにポイントがたまったり、仮想アイテムが手に入ることで、ユーザーはゲーム的な楽しさを見出し、熱心にチェックインするようになった。

LinkedInはプロフィールの登録状況を進捗バーによって表すことで、ユーザーを刺激した。進捗バーの表示により、進捗が100%にならないまま中断したユーザーも後日登録作業を継続するようになったのだ。これによりユーザー情報を最後まで登録するユーザーの割合が大幅に向上した。

なお、サービスの中で簡単なゲームアプリケーションが利用できるのも、もちろんゲーム化である。Facebookやmixi向けのソーシャルゲームアプリケーション市場は急成長をしており、サイトの滞在時間の延長やログイン回数の増加に貢献している。

なぜゲーム化が有効なのか

なぜソーシャルメディアをゲーム化することがWebサイトやサービスを魅力的にし、ユーザーを引きつけるのだろうか。その答えは以下の3つのポイントにヒントがある。

ユーザー間の競争

ユーザー同士で達成度やステータス、レベル、勝敗などを競争させることで、ユーザーの闘争心をあおる。達成感や勝利による報酬などがサイトへのアクセスへの動機となる。FourSquareのメイヤーなどがこれにあたる。

ユーザー間の協力

競争の側面よりも、ユーザー同士で助け合ったり、グループを作ることを楽しむユーザーに向けている。mixiのサンシャイン牧場などがこれにあたる。

個人の楽しみ、逃避

一人でプレイすることによる個人的な達成や逃避によるリラックス効果などを求めるユーザーに向けている。

3つのポイントを複合的に組み合わせる

実際はこうしたポイントを複合的に組み合わせてユーザーの興味をひくようになっている。例えば、英語学習サイトsmart.fmなどは、学習スタイルそのものが個人にあわせたゲームになっており、達成度もグラフ化されるようになっている。またフォロワー同士のコミュニケーションで励まし合うこともできる。

ゲームがおもしろければ、ユーザーは自分の友達を招待したり、ソーシャルメディアで情報を共有するようになる。これはエンゲージメントの1つの形でもある。

単に加えただけでヒットするわけではない

しかし、当然のことながら、ゲーム化すれば人気がでるというわけではない。世の中にはちっとも面白くないゲームが山ほどあることからもわかるだろう。

私が一時期関係していたWebメディアでは、サイトの中での宝探しを実施したが、参加者が少なく、またゲームとしての満足度も低かった。これは単純にゲームを追加しただけでは、ユーザーの興味をひくことはできないということの良い事例である。

報酬が必ずしもモチベーションにはならない

宝探しゲームでも報酬があったが、それがモチベーションに大きく貢献することはなかった。人がゲームに熱中するのは、報酬そのものよりも、そのゲームが課してくる難題への挑戦であり、それをクリアすることの喜びであり、また自分の技術の向上である場合がある。簡単な課題をクリアして、ささやかな報酬を得られたとしても人はあまり熱中しないのである。

これはFourSquareなどの位置情報サービスにとってもクリアしなければいけない課題である。一時期熱心にチェックインしていたが、飽きてしまったという声をよく聞くのは、ゲームとしての熱中度が低いことにあるように思われる。現在は、飲食店や小売店と協力し、現実に使えるクーポンなどを提供することで、魅力を出している。

まとめ:ゲーム化はうまく使えば武器になる

サービスにゲームの要素を加えることのメリットは、ユーザーがゲームをきっかけにWebサイトにアクセスするようにすることである。訪問が増えればユーザーに情報を提供する機会が増え、新たな顧客獲得につながる。またユーザーが頻繁な訪問によってその企業のことを自然と好きになり、信用するようになるという効果もある。

しかし、ユーザーの目は肥えている。ゲームとしておもしろくないものや、報酬がつまらないものである場合、ユーザーは見向きもしないであろう。

Social Media Experienceでもサイト内にゲーム的な要素を付け加えることを検討しているが、Webサイトの方向性にあっていて、かつおもしろいものというのを考えるのは非常に難しい。対象者やゲームを用意することの最終的なゴールを見据えて計画をしなければいけない。

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